「えっ?じゃあ…ひとまず、先生に頼んでタクシー呼んでもらおう。俺、ちょっと職員室に……」



さすが、“王子様”。


それは、まさに“正当な”対処法だと思う。


でも……



「えっ?」



気がつけば、

私は、立ち上がろうとするヤツの服の裾を掴んでいた。



「……行かないで。」



「浅海…さん?」



「ひとりにしないで。」







……自分で自分が信じられない。


なんで、コイツにこんなことを言っちゃってるのか。


だけど、


傍にいてほしい、って



思っちゃったんだもん。







「……わかった。一緒にいるから……」



そんな声が聞こえて、

頬に、温かい掌が触れた。











その後のことは、



覚えてない。