「……ん?」
どのくらい経ったんだろう?
目を開ければ、至近距離で私を覗き込む綺麗な顔。
近っ…と思いながらも、身体を起こせない。
「浅海さん?終わったんだけど…帰れる?」
「ん…」
なんとか顔だけ上げて、室内を見渡せば…薄暗いし人の気配もない。
私たちが最後みたいだ。
「まだ眠い?だったら、もう少し…「だるい。」
「へっ?」
「なんか…熱あるみたい。」
無意識のうちに、そう漏らしていた。
「えぇっ?」
慌てて、私のおでこに手を当てる王子。
なんか…頭がボーッとして、視界も歪んでる気がする。
「うわっ。熱っ。なんで黙ってたの?」
別に黙ってたわけじゃ……
って、ヤバイ。反論すらできない。
「とりあえず、保健室に…って、先生もう帰っちゃってるか。じゃあ、家の人に連絡して……」
「……無理。」
「へ?」
「今日、うち誰もいない。」