……あのとき。


私とアイツの“あんな”場面を目撃したのは、まさにこの子で。


面白おかしく脚色されて広まったのも、元をたどればこの子のせい。


だから……


こうして、私は誰にも文句を言われずに生徒会室に招かれているわけで、

他の役員たちが微妙に距離を取ってるわけだよ。



「ねぇ、浅海センパイ?
風見センパイのキスってどんな感じですか?やっぱり甘ぁいですか?」


「はぁっ?」


「“王子様”ですもんねぇ。キス以外もいろいろと…やさしく甘く、愛してくれるんでしょうねぇ」



……この子はっ。


邪気は、ない。


でも、こういう生々しいことをペラペラと……


今ドキの“後輩”は、恥ずかしいとかないわけ?


それとも何?
生徒会は“変態”の集まりなの?


こっちが熱くなってきちゃうよ。



「……わぁっ。センパイってば真っ赤。かーわいい」


「ちょっとっ」



ちょん、と頬をつつかれてますます火照ってくる。



「学園の“王子様”が虜になっちゃったワケ、なんとなくわかるかも。」