ね…こ…?



「あ、名前はね“風鈴”って書いて“カリン”なんだよ。夏にうちに来たから。」



ついていけない私を無視して、聞いてもいないことを話し続ける王子。



「名前も、浅海さんと似てるよね?」



なんだかすごく嬉しそう。


確かに、私の名前は“風歩(カホ)”だから、 似てるっちゃあ似てるけど……



「浅海さんを初めて見たときから、ずっと思ってたんだ。

カリンが人間だったら、絶対にこんな感じだろうなって。」



「はあ…。」



私は、もう何も言えない。


だって、すごくキラキラした瞳で語っちゃってるんだもん。


こんな顔、初めて見た。


いつも変わらぬ笑顔を貼り付けて、どんな物事にも動じない。


全部完璧だけど、全部が“作りもの”っぽくて。


腹の中じゃ、何を考えてるかわからない。


そう思ってた。


だから、嫌いだったのに……



「“リアル”カリンだねっ」



……これはこれで、なんか嫌だけど。