……最近、何かがおかしい。


原因は、ただひとつ。


あれだけ私にまとわりついて、数々のセクハラを繰り返してきた“あの”男が、ほとんど絡んでこなくなった、から。


休み時間も、昼休みも放課後も。

気がつけばいなくなっていて、授業のときだけ教室に戻ってくる。


別に、無視されてるわけでも避けられてるわけでもないんだけど……


なんか妙に、もやもやするんだよね。



「あゆちゃん、忙しそうだもんねぇ」



机の上のお菓子をつまみながら、くるみはのんびりした調子で言った。



「今、生徒会はいろいろ大変みたいだよぉ?
年末ってこともあるし……ほら、喫煙騒動とかもあったしね。」



放課後の補習。


いつもの場所で、1人で……のはずだったのに。



「あ。ほら、風歩ちゃんも食べて食べて!お腹が空いてたら頑張れないでしょ?」



なぜか、お菓子持参で現れたくるみ。



「あゆちゃんがね、風歩ちゃんのことすごく心配してたから……

こうして、くるみが代わりに様子を見に来たわけさ。

いやーっ。風歩ちゃんってば、愛されてるねぇ。」