「……へっ?」



イライラMaxだった私は、うっかりダイスケの言葉を聞き逃すところだった。


今、何て……?



「アイツ、どうしようもないくらい天然で鈍感なのに……自分では全く気づいてないからなぁ」



しみじみと言って、うんうん頷いているダイスケ。



「そのくせ、頑固でしつこくて思い込み激しすぎだから。浅海、苦労してるだろ?」



……うっ。

コイツ、なかなか鋭い?



「今の浅海の気持ちにも、気づいてないね。絶対。」



私の気持ち?……って、何よ。



「ま、俺の口からは言わないでおくけど。」



なぜか悪戯に笑って…って言っても、私には柴犬にしか見えないんだけど。



「アイツに捕まったからには、覚悟しといたほうがいいよ?」



ダイスケは足早に去って行った。


よく見れば、肩には大きなスポーツバック。


……部活か?