「クラスメイトの名前くらい覚えとけよ。」



呆れたような、非難がましい瞳を向けられる。


……そんなこと言われてもねぇ?

興味もないし、知る必要もない。



「で、何の用?早くしてくれない?」



もう名前なんてどうでもいいから、さっさと用件をすませてほしい。

早く帰りたいんだから。


イライラを押さえつつ、
目の前の柴犬“ダイスケ”をじっと見据える。



「……なんで歩は、こんな女がいいんだろう?」



そんな私に、ぼそっと聞こえた声。

なんか、すごーく嫌な単語が聞こえたような気がするんですけど?



「はっ?何か言った?」


「いーえ、何でもございませんっ」


「……そ?じゃあ、早くして。」



まったく。

コイツ…ダイスケとやらは、あの憎き“変態”王子の友達、なんだと思う。


なんかいつも一緒にいるし。


もちろん、私は一切関わりなんてないわけだけど。



「歩が、お前に言っておいてくれって……」