「ぃやっ…」



近づく俺の顔を思いっきり押し退けて、彼女はぎろっと俺を睨みつけた。



「な…なんで?なんでこういうところで、こういうことをするわけ?私、明日から学校に来られないじゃないっ」


「……なんで?」


「な…なんで、って。
あんなとこ見られて、どんな噂になるか…」



だんだん小さくなっていく声と俯いていく顔。



「大丈夫、だと思うよ?」



何をそんなに心配してるのかはわからないけど……



「小沢さん、悪い子じゃないし。」



そんな変な噂にはならないでしょ。きっと。



「ただ、ちょっとだけおしゃべりで、交遊関係がめちゃくちゃ広い…ってだけだから。」


「なっ…それ、すっごく危険じゃないっ」


「大丈夫だってば。
“つき合ってる”男女がそういうことしてたって、別におかしくないでしょ?みんな、そんなに驚かないって。」