ザワついている廊下の中、雑音は何も耳には入ってこない。




神経が、



飯富さんの瞳に集中する。





なに?





後ずさりしてもこちらに来る。




逃げ出したくても足が動かない。






どうすればいい?




だれか




助けて





段々と近づいてくる飯富さんたちに、私は後ずさりしか出来ずにいた。





「あのさぁ〜。柚奈チャンってぇ〜‥津神クンの何?」





何?



妹だけど?



それ以外に何があるの?



飯富に全部見抜かれていそうで、無性に恐ろしくなった。




知ってるの?




キスしたこと




まさか………




「妹……ですよ」




「本当かなぁ?」