「柚奈!ソコにいたのね!!早く降りてきなさい!」


大声で泣いた柚奈は見つかってしまった。



「亮に迷惑かけるんじゃない!」


父が言う。



迷惑?


違うよパパ


迷惑なのは

貴方たちだよ



柚奈がかわいそうだ。




「柚奈、行こう。じゃないともっと大変なことになるよ」



そうだよ


ママたちは

素直じゃない子は嫌いだから。


「ヤダヤダ!お兄ちゃん、放してよっ!」



「ダメだよ!!柚奈!」


「ヤだよ!!放してったら!」



柚奈の言葉を無視して、柚奈を抱きかかえて、


下へと飛び降りた。



「亮!!!!危ないっ」


「亮君!」



柚奈の心配をしろよ‥



と、親の顔を見上げた。



「柚奈!!またお兄ちゃんに迷惑かけたのね!!いい加減に良い子になりなさいっ!!!」


怒り狂った母の声の後に

パンッという鋭い音がし、その後に柚奈の大きなわめき声が聞こえた。



「いだいよぉ―――!うわぁぁぁぁん!!!!」



誰もが柚奈を

軽蔑のまなざしで見ていた。



ビンタした母親ではなく、被害者の柚奈が……



そんな俺は、口出しなんてできなかった。




まだ小さかったから



言えるような子じゃなかったし



何より、


俺が柚奈を


下におろしたのだから。