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あたしは…ドキドキを抑えながら、
教卓の真ん前の席から、窓際の一番後ろに座る上杉くんを見た。
上杉くんは、ホームルーム中にも関わらず、
携帯を机に置いて器用に指を動かしている。
…あの動きはスマートフォンだ。
上杉くんって、流行りものに飛びつきそうだもんね…
女の子も…取っ替えひっかえしてそ…
そんな事を考えていたら、
バチっと目が合った。
上杉くんはあたしをじっと見て、ニッコリと優しい笑顔を向けてくる。
ドキン…ドキン…
顔が一気に熱くなってくる。
あたしはバッと正面を向いた。
「せんせ〜!さっきからピンク色の視線が欝陶しいんで、なんとかしてくださぁぁい!!」
あたしの後ろに座る真田くんが、茶化すように言う。
先生は《?》マーク一杯の顔をしている。
「あ…すみません。俺です♪琴女ちゃんが可愛くてつい…」
教室中に冷やかしの声が響く。
先生は、はぁ…とため息をついただけ。
あたしは、両手で熱くなる顔を覆い隠した。