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理系は北校舎に、文系は西校舎にある。
あたしのクラスは、北校舎2階の一番奥。
…北校舎に入った瞬間、男臭いにおいがする。
階段をあがり、理系一般クラスの前を通過すると、
「琴女ちゃ〜ん♪」
「リア琴女ちゃんだ!!」
…と、太い声が聞こえる。
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ガラガラ…
あたしは遠慮がちに自分のクラスのドアを開けた。
クラス中の視線が一気にあたしに集中する。
…っう…。
あたしは入口でフリーズしていると、
「琴女ちゃ〜〜ん♪こっち×2♪」
窓際の一番後ろの席からあたしを呼ぶ声がした。
声の主は、見た目チャラ男。
背が高く、ハニーブラウンの長すぎない髪の毛をくせ毛っぽくセットしている。
その人は、一歩一歩あたしに近付く。
「おいで♪」
彼はあたしに手を差し出し、あたしの目をジッと見た。
「あ。俺、上杉遼ね♪よろしく♪」
あたしは、彼の綺麗な切れ長の目に吸い込まれそうになった。