あなたは誰と恋をする?



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「お~~~い!!」


真田くんがあたしの顔の前で手を振る。


「琴女?」


バッと真田くんが顔を近づけて来て、
二度目の覚醒。



「わぁぁぁ!!顔近いってばっ!!」


「そんな照れるな×2♪」


「・・えっと・・どゆこと?」


あたしは事の経緯を確認する。




「俺、斉藤が琴女に告白したって思ったら、
急に琴女を独占したくなった♪
琴女が他の男と居るって思っただけで泣きそうだったし」



「・・・あってことは・・・?」



「俺は琴女を誰にも渡したくないの!」




・・・うぅ・・・


泣きそ・・・



「琴女は?」



「あたしも・・・真田くんが好き・・・」



そう言った途端、ギュッと力強く抱きしめられた。



「・・いっぱい大事にするからな?」

「うん・・・」


「・・いっぱいケーキ食べような?」

「うん・・・」


「・・いっぱい色んなところ行こうな?」

「うん・・・」


「・・いっぱいエッチしような?」

「うん・・・?」



抱きしめられてて、真田くんの顔は見えないけど
今絶対《ニヤっと》してるはず・・・


「・・今、《うん》って言ったな♪
覚悟しとけ?」

「・・・・・・」


「返事しないと・・公開セックスになっちゃうかもよ?」




「それは無理ーーーーー!!!」




ギャハハと無邪気に笑う真田くんが本当に愛しい。


真田くんを見ていると触れたくて仕方ない。






あたしは真田くんの頭をよしよしと撫でて言った。



「ずっと仲良しでいようね♪」


「おう♪約束な♪」





あたしたちは、チュッと約束のキスをした。










【完】







おまけ→

















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「あのさ?ココ・・教室なんだけど?」




上杉くんの声でハッとする。


あたしたちはすっかり二人だけの世界に入り込んでいて。



気がつけば、あたしたちのまわりにはクラスメイトが・・。




「いいのいいの♪」

と、真田くんは平気そうに言う。


あたしは恥ずかしさのあまり、真田くんの胸に顔を隠す。




「えーーー。
本日より、教室内でのいちゃつきは禁止とします」



上杉君が、あたしたちに向かって言った。




「んじゃぁ、教室以外ならいいんだよな?」



そう言って、真田くんはあたしの手を掴んでまた教室を出た。


「ド、どこ行くの?!」


「イイ事しに行こうぜ♪」






「い、イイ事って?!
きゃぁーーーーーーー!!助けてーーーーー!!」




あたしの叫び声が北校舎いっぱいに響いた。










おわり


















《真田碧くん》に恋したら。



短編って難しい・・・。





日々勉強ですね。



NEXTは、《直江理くん》に恋した場合・・・です。
−−−−−−−−


あたしは…ドキドキを抑えながら、

教卓の真ん前の席から廊下側の最後尾の直江くんを見た。




直江くんは机に突っ伏したまま・・・。


・・かと思ったら、急に顔だけを上げて
あたしの方をバッと見る。



直江くんのキリっとした目にあたしは・・・


射抜かれた。




「俺の女になれ」って本気?・・な訳ないか。


でも。


ギュウって抱きしめられて、嫌な気はしなかった。




なんだろ・・・


とても変な気持ち・・・


直江くんに「俺の女になれ」って言われて、思わず
「はい・・」って言いそうだったし。


直江くん、絶対ドSだよね。




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ホームルームが終わり、教室移動。


あたしは、後ろの席の真田くんと、
プレイボーイ丸出しの上杉くんと教室を出ようとした。



直江くんの席の横を通った時、ガシッッ!!と腕を掴まれた。



「きゃっ!!」



掴んだ相手は直江くん。

腕を掴まれたまま、あたしを直視してくる。



あぁ・・・



その視線反則だってば・・。

胸の奥がキューーンとする。




「な、なに?直江くん・・」


「お前・・・次の授業俺とサボレ」


「・・へ?」


「俺と授業サボレ!返事!」


視線を全く外さないで言われたら・・・


「は・・・い・・・」


ってしか言えないじゃん。





あたしたちの様子を見ていた上杉くんと真田くんは、
顔を見合わせて驚いていた。















































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誰もいない教室に直江くんと二人きり。



「・・・・・・」

「・・・・・・」


直江くんは机に突っ伏したまま。



あたしは仕方なく自分の席に戻り、
次の授業の予習を始める。



・・・俺とサボレって言ったくせに、なんで無言?

一体どうしたいんだろ・・・?



「あのさ・・・」



突然直江くんが話し出す。


直江くんの方に振り向くと、顔だけ上げてあたしを見ている。



「な、なに?」


「琴女って、男いんの?」


「へ?男?」


「そう。」


「い、いないけど?」


「ふーん。そっか・・。」



なに?なに?

なんか考えてるような顔をして直江くんは
続けて言った。






「俺の女になってくんない?」















《俺の女になってくんない?》



あたしは驚きのあまり自分の机に出した教科書を
雪崩のように落としてしまった。


「プッ・・動揺しすぎ」


「ど、動揺するよ!!いきなりそんな事言うんだもん!!」


「ただ・・・学校の中だけって条件つきだけど。」


「へ?どういうこと?」


「学校の中だけ、俺の女になってくれたらいいから。」


「い、意味わかんない・・・」


だってそうでしょ?
学校の中だけって・・・。



「まぁ、とりあえず。そういうことだから。」


直江くんはそれだけ言ってまた机に突っ伏した。


あたしは直江くんの傍まで行って直江くんを揺すった。


「ちょ、ちょっと!!ちゃんと説明してよ!!
ってか、そんなの無理だし・・・」


「うっせ」



グイっっっ!!




「っんん!!」




今あたしはどうなってる?



直江くんに腕を掴まれてて、


後頭部をおさえられてて、


唇が・・・・塞がれてる。


口の中で直江くんの舌があたしの舌に絡み付いてる。




なんで・・・・?



力が入らない・・・・





目の前に直江くんの顔。


荒れる息遣い。




リアル?







ガラガラ・・・




「ちょっと!オサム!!何してんの!!」





あたしは、その声と同時に直江くんから離れた。
























教室に入ってきたのは、同じ学年の近藤さやって子だった。


「ちょっと!!オサム!
何してんの?って聞いてるでしょ?!」


直江くんは明らかに不機嫌そうな顔をして言った。


「自分の女とキスしてただけだろぉが。
これからって時に邪魔すんなよ」


「「はぁぁ?!」」


あたしも、近藤さんも発狂した。



「な、直江くん!!どういう・・・」


直江くんはあたしにキッと睨み、目配せをした。



あ・・・さっき言ってた事か・・


《学校の中だけの女》ってやつ。


近藤さんは、あたしにも突っかかってくる。



「井上さん、どういうこと?!オサムの女なの?」


あたしはチラッと直江くんを見やる。



・・・う・・・なんか、めちゃくちゃ睨まれてる。

とりあえず、その場しのぎで・・・。



「う、うん。直江くんと付き合ってるの。」


「うそ・・でしょ?オサム、ホントなの?!」


近藤さんは泣きそうな顔で直江くんに聞く。




「だからマジだって言ってるだろ?
なんなら今からセクロスでも見て行くか?」



「・・・もういい!!オサムのバカっ!!」



近藤さんはそのまま教室を出て行った。



あたしは、自分の席の下に落ちてる教科書を拾いながら
直江くんに聞いた。



「あたしを学校の中だけの女にするって・・
どんな理由なの?
ってか、その前に謝ってよ・・さっきの事。」



「さっきの・・・あぁ、キスしたこと?
ごちゃごちゃうるさいからキスしただけだし。
あんまりうるさいとまた塞ぐけど?」


「・・・・・・」




あたしは黙るしかなかった。




すると、直江くんがクスクス笑い出した。


「そんなに俺とキスするの嫌?
っつうか、あの女、俺にまとわり付いてきてウザイから。
だから、カモフラージュで琴女と付き合う・・て訳。」


「そんな・・・酷い」


「ごちゃごちゃうるさいって。
とにかく、しばらくよろしく。」



そう言って直江くんは教室を出て行った。













理由もわからないまま、あたしは直江くんの彼女を演じていた。


あたしたちが付き合いだしたっていう噂は
あっという間に広まり・・・


文系女子からは冷たい視線で見られることも多かった。




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「琴女、弁当」


「はいはい・・」


あたしは、直江くんの前にお弁当を出す。


あたしと直江くん、上杉くん、真田くんは、
毎日食堂で一緒にお昼を食べている。


上杉くんと真田くんは学食で、あたしと直江くんはお弁当。


しかも、直江くんのお弁当はあたしの手作りで・・。



「でも、琴女ちゃん、オサムのために毎日お弁当作ってきて、
甲斐甲斐しいね♪俺もそんな女の子欲しい♪」


「ハハハハ・・・」



作らされてるだけなんだけど・・・

彼女のフリなのにココまでさせられてるのは正直微妙。



「琴女、茶」


「はいはい・・・」



「なんなの?!その熟年夫婦みたいなやりとり!!」

真田くんはギャハハハと笑った。


「そうだよ♪あ~ん♪とかすればいいじゃん?」

上杉くんはにっこり笑って言った。




・・・だってあたしたち別に付き合ってないんだし・・・

あたしは黙って俯いた。





すると、目の前にピックに刺さったウィンナーが見えた。

顔を上げると、直江くんがあたしに向けて
そのウィンナーを突き出している。


「・・え?」


直江くんはあたしの目を見て一言。



「・・食え・・」




・・・もしかして、あ~んのつもり?



「・・・早くしろ・・・」


直江くんの顔が見る見る赤くなっていく。



あたしは、そのままウィンナーを口に入れた。




「~♪」


「見てるこっちが恥ずかしいな・・・」


上杉くんと真田くんはニヤっとしながらあたしたちを見た。






・・・直江くん・・・


今のは、ちょっと嬉しい・・カモ。




































授業が終わり、直江くんと教室を出る。

特に会話も無く、ただただ歩くだけ。



学校を出て、直江くんは右、あたしは駅に向かうから左・・・


直江くんはあたしを見ることもなくどんどん行く。


あたしは、いつも直江くんの背中を見送ってから駅に向かっていた





せめて・・「じゃぁね」ぐらい言ってもいいのに。

学校の中だけの彼女だから、学校出たら関係ないんだ?

・・あたし、直江くんの携帯番号も、メアドも知らないし。


なんか・・・淋しいな・・・



・・ってか、いつまでこんな関係続けるんだろ・・




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駅に着いて、改札をくぐった時。


「琴女!!」


いきなり声を掛けられた。


「・・圭太!!」


振り返ると、あたしの元彼の圭太が立っていた。


圭太は、近くの高校に通っている。
「他に好きな子が出来た」と言われて終わった相手。


「どしたの?」


「久しぶり。3ヶ月振り・・か?
ちょっと琴女に会いたくて待ってたんだ・・」


「・・・会いたくてって・・・彼女は?」


「琴女と別れてすぐに付き合ったんだけど、1ヶ月持たなくてさ。
どうしても琴女と比べちゃって・・・」


「・・・そう・・」


「そいつと別れてからずっと琴女が頭から離れなくて。
もしよかったらやり直せないかな・・・」



正直、動揺した。



あたしは高校に入ってから、同じ電車に乗る圭太を
ずっと見ていた。
思い切って告白してOKしてもらった時は本当に嬉しかった。

半年くらいの付き合いだったけど、ファーストキスも圭太だったし、
初めての相手も圭太だった。


あたしの中で、圭太は一生消える事のない存在・・・



そんな圭太がやり直そうと言っている。


「彼氏・・・いるの?」



彼氏・・・


一瞬、直江くんの顔が浮かぶ。


でも、直江くん偽彼氏だし・・・



俯いて考えていると、



「井上さんじゃない?うわぁ。男と密会??
オサムかわいそ~~!!」



近藤さんがあたしを睨みつけて言って来た。