あなたは誰と恋をする?



あたし、井上琴女は高校2年生に進級した。



うちの学校は、1年の年度末に行われた希望調査書と、1年生の成績で2年生のクラス分けをする。


大きく分けて、理系・文系。

そして更に成績順に

理系特進クラス1組、
理系一般クラス2組、
文系特進クラス1組、
文系一般クラス4組
…と8クラスに分けられる。





あたしは、文系の頭を持ち合わせていなかったから、希望調査書には迷う事なく《理系》に丸をつけた。




まさか…




理系に進んだ女子生徒があたし一人だなんて思いもよらなかった。










新学期。



あたしは、1年生からの親友《安達里菜》と学校に向かっている。




「琴女、理系だもんなぁ〜校舎離れちゃうね…」


「うん…めちゃくちゃ淋しいよ…」


「今年は理系に女子何人いくんだろね〜
一コ上の先輩いわく、毎年理系にいく女子は30人くらいらしいけど!」


「…どうだろ。少なくとも、あたしのまわりには理系に進む子はいないけど…」


「不安じゃない??」


「ん〜別に?」


「琴女すごい…あたしは無理だなぁ…
もしかして、理系は琴女一人だったりして♪」


「さ、さすがにそれはないでしょう…」


「でもさぁ〜
美女トップ3の琴女が理系いったら、理系男子ウハウハになっちゃうね♪」


「…う、ウハウハって久々に聞いたかも…」





理系に進む女の子が、なかなかいないのは十分わかってる。


あたしは人見知りとかするタイプではないし、女の子があたしだけなんて有り得ないし…





きっと大丈夫な…はず。










クラス発表の紙が張り出されている掲示板に人だかりが出来ている。



「うわっ…凄い人…」


「始業式まで時間あるし、時間空けて見ようか…」


里菜がそう言ったと同時にその人だかりから低い声だけのどよめきが起きた。



「「「おぉぉぉぉぉぉ!!」」」



…なんだ?




掲示板の左側の男の集団が、一斉にあたしに視線を向けた。




「「井上琴女GET!!!」」




はぁ?!


なに、その《獲ったど〜!》的な言い方…




すると、去年同じクラスだった小竹くんがあたしに駆け寄った。





「井上さん!特進だったよ!!」


「あ…ホント?教えてくれてありがと…」



《ついでに里菜のも見てきて…》とか言おうかと思った時、小竹くんは続けて言った。







「今年の理系の女子、井上さん一人だけだったよ!」









「…へ?」




小竹くん…な、なんて言った?







「大変だろうけど、頑張ろうぜ!!」









「えぇぇぇぇぇぇ?!?!」












あたしは人だかりを掻き分け、掲示板の真ん前に立って、全ての理系クラスの名前を隅々までチェックした。




…ホントだ。




理系の女子は…あたし一人だ…




「…琴女…ご愁傷様…」



「里菜ぁぁ〜」



泣きつくあたしに里菜はニヤっと笑って言った。



「でも琴女…喜べ♪
トップ3が特進クラスにいるみたいだよ♪」



「トップ3…?」



「まさか知らないなんて言わないよね?」



「……」



「直江理(なおえおさむ)くん、真田碧(さなだあお)くん、上杉遼(うえすぎりょう)くん…
容姿端麗&頭脳明晰、うちのTOP3…」



「…へぇ…」




あんま感心ないや…




「おまけに二年間逆ハー♪最高じゃない!!」



「…ハハハハ」




−−−−−−−−




−−−−−−−−


理系は北校舎に、文系は西校舎にある。

あたしのクラスは、北校舎2階の一番奥。



…北校舎に入った瞬間、男臭いにおいがする。


階段をあがり、理系一般クラスの前を通過すると、


「琴女ちゃ〜ん♪」

「リア琴女ちゃんだ!!」



…と、太い声が聞こえる。






−−−−−−−−−


ガラガラ…



あたしは遠慮がちに自分のクラスのドアを開けた。



クラス中の視線が一気にあたしに集中する。



…っう…。

あたしは入口でフリーズしていると、



「琴女ちゃ〜〜ん♪こっち×2♪」



窓際の一番後ろの席からあたしを呼ぶ声がした。



声の主は、見た目チャラ男。



背が高く、ハニーブラウンの長すぎない髪の毛をくせ毛っぽくセットしている。



その人は、一歩一歩あたしに近付く。



「おいで♪」



彼はあたしに手を差し出し、あたしの目をジッと見た。




「あ。俺、上杉遼ね♪よろしく♪」





あたしは、彼の綺麗な切れ長の目に吸い込まれそうになった。







「ズルイぞ〜遼!!抜け駆け無しだかんな?!」



ギュッと両肩を掴まれた途端、あたしの頭の上からそんな声がした。




「えっ?!」




顔だけ振り返ると、
アッシュブラウンの短めの髪を無造作にセットし、ニカっと無邪気に笑う人がいた。




「琴女、めちゃくちゃいい香りがする♪」



その人はあたしの髪の毛に顔を近付けてくる…



「碧!!お前、キャラ悪用すんなって!!
琴女ちゃんから離れろ!!」



「ヤダね〜♪
俺、真田碧な♪よろしく琴女♪」




…初対面でいきなり呼び捨て?!



「…あの…とりあえず肩の手離してくれない?」



「や〜だよ♪」



「……」




真田くんは、じゃれつく犬みたいにあたしに絡みついてきた。




「いい加減離れろ、碧。」



あたしが真田くんに困っていると、すぐ近くの席に突っ伏していた人が言った。




「っちぇっ!!おさむはずっと寝てろよ!!」


真田くんは口を尖らせて言う。





その人は、ガバッと立ち上がり、あたしから真田くんを無理矢理はがし、
そのままあたしの腕を掴んでグイっと引き寄せる。



一瞬の事で頭が回らない…



わかる事は、あたしがその人の腕の中にいる…という事だけ。



「っちょっ、ちょっと!!」


力いっぱい押してみるけど、敵うわけもなく…



「じっとしてろ。」



あたしはその人の顔を見上げる。



黒髪のサイドをツーブロックにし、
トップは短め、前髪は目にかかる程の長さ。





その人は、キリっとした目であたしを見下ろして言った。




「俺の事、上目使いでみちゃってるけど…誘ってんの?」




「…は、はい?!」





「琴女…今日から俺の女になれ。」






「…はぁ?!?!」



何言ってんの、この人。





ガラガラっ!




「ほら、席につけ!!」




…先生だ♪助かった…




「こら!直江!!朝から何してんだ!
席につけ!!」




「ざまぁみろ♪」

真田くんは直江くんに舌を出して笑う。



「おさむ、残念でした♪」

上杉くんはあたしにパチっとウィンクをして言った。



「ッチ!」

直江くんは軽く舌打ちして、あたしを解放した。




「井上も早く席につけ!!」



「あ…はぁい」

あたしはそのまま教卓の真ん前の自分の席まで行き、ストンと座った。。





ドキドキ…ドキドキ…

   ドキドキ…ドキドキ




あ…あれ?


なんか急に胸が苦しい…




フっと一瞬、彼の顔が頭を過ぎる。



え…なんで??






あたしはバッと振り返って、彼の顔を見た。




彼の顔を見た瞬間、



あたしの鼓動は一層跳ね上がった。





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