あたしたちはウィンドウショッピングをしたり、カフェに入ったりして時間を過ごした。
たまに鳴る上杉くんの携帯が気になったけど、
上杉くんは携帯画面を見るだけで、電話に出る事はなかった。
今日二度目のカフェ。
「…上杉くん…今日なんで誘ってくれたの?昨日の罪滅ぼし?」
…あたし、性格悪いかも。
誘ってくれてありがとうって言えばいいのに…
「…違うよ?今日琴女ちゃんと一緒にいたかったから…」
…やっぱり上杉くんは一枚上手だ…
「そんな事言うと、本気にしちゃうよ?」
あたしは冗談まじりに言った。
「…本気にしてよ」
上杉くんはいつもの優しい笑顔ではなく真剣な顔で言う。
「や…やめてよ!!もぉ!!そんな事、他の女の子にも言ってるんでしょ?」
あたしはアイスカフェオレの氷をストローで器用に掬って口に入れる。
「クスっ。
氷食べたくなるのは貧血だかららしいよ?」
「……」
…違うよ?今のは照れ隠しなんだけどな…
「ってか…俺女の子にそんなに口説き文句言わないんだけどな…
琴女ちゃんだから言ったんだけど?」
上杉くんは、頬杖をついたままプイっと横を向く。
あたしは、こういう口説きっぽいのに慣れていないからか、テンパりだした。
「あ…あのさ、上杉くん、忘れられない人いるんだって?
だからって、女の子と適当な遊びするのはどうかと思う…んだけど。」
…こんな事言いたい訳じゃないのに…
「誰に聞いたの?碧?おさむ?」
一瞬にして上杉くんの顔が強張る。
「あ…いや…」
あたしは返答に困って、俯くしかできなかった。