真田くんに上杉くんの事情を聞いたけど…
だからって、女の子を物扱いしていい訳じゃない。
でも…
上杉くんが気になる…
帰り支度をしていた時、上杉くんが遠慮がちに声をかけてきた。
「…琴女ちゃん…」
あたしはゆっくり振り返る。
「なに?」
さっきの怒りオーラは消えてるはずなのに上杉くんは顔を強張らした。
「今日…一緒に帰れないかな…?」
あたしは、コクンと頷いた。
−−−−−−−−
二人で教室を出ると、あたしたちを冷やかす声があちこちから聞こえてくる。
それが恥ずかしかったあたしは、歩く速度を緩め、上杉くんの少し後ろを歩く。
上杉くんは時々立ち止まって、あたしが上杉くんに遅れないように気にしてくれた。
学校を出た時、上杉くんは後ろを歩くあたしに
「今日時間ある??どこか寄り道しようか。」
と、すこし視線を下げて言った。
「うん…今日は特に予定ないからいいよ?」
「ありがとう、琴女ちゃん」
やっと上杉くんはニッコリ笑った。