その日の昼休み。


上杉くんはあたしの所に来なかった。


…まぁ、はっきり言っちゃったからね…あたし。



誰もいない教室で、お弁当を広げた時、真田くんが教室に入ってきた。



「琴女♪一緒に食おうぜ♪」


「え?うん…でもどしたの?」



「遼がさ、琴女が一人で飯食ってるから行ってやって!って。
ごめんな…一人で食べてたの気付かなくて。」


真田くんはシュンとする。



…なんか、真田くんってホント純粋な子だなぁ…

あたしはクスクスっと笑ってしまった。



「あぁ!琴女やっと笑った♪」



「え?!」



「琴女、このクラスになってから全く笑わないからさぁ…
皆…っつうか、遼がスゲェ心配してたんだぞ?」



「…そうなんだ?」



「うん!琴女ってさ可愛いし頭いいから学校でも目立ってるだろ?
遼がいつも言ってたんだ。
《琴女ちゃんの笑顔は一番いい♪》って。」




「……」



「おさむには口止めされたけど…
実は遼さ…スゲェ好きだった年上の彼女に二股かけられてたんだよね。」



…二股??



「その二股の相手が…遼の兄貴でさ。
その彼女、結局兄貴と結婚しちゃって…」



「まぁ…彼女的に遼の方が初め本命だったみたいなんだけど、
遼が彼女に身体ばっかり要求しちゃったりしててさ。
それで、《あたしは物じゃない》…と言われたらしい…」




…上杉くんは未だにその彼女を引きずってるんだ。



その淋しさを紛らわす為に女の子と遊んでるんじゃ??




あたしは今日もやっぱり、お弁当を半分残した…