「琴女〜♪」
ガラっと勢いよくドアが開き、真田くんが入ってきた。
あたしは咄嗟に上杉くんを押して立ち上がった。
「碧…タイミング悪すぎ…」
上杉くんは髪の毛をクシャっとしてため息をついた。
「遼!!お前また抜け駆けかよっ!
琴女、気をつけろよ!こいつ手早いからさっ!」
「…え?」
「遼、可愛い子見ると誰にでもすぐキスしたがるから…」
…誰にでも?
「こら!碧…人を遊び人みたいな言い方しないでくれる?」
「まんま遊び人じゃんか?」
二人のやり取りにあたしは愕然とした。
上杉くんにとって、あたしは数いる女友達の一人に過ぎない…
好きになりかけた時だったから、それがものすごくショックだった。