「美沙…ありがとう」



あたしが涙交じりの声でそう言うと、美沙はゆっくりと笑った。



「行ってきなよ」



その言葉にあたしは勢いよく立ち上がる。




そんな時だった。




「でも瑠璃――――」




やばい、と。


そう思ったときには遅かった。



足元が浮いたと感じたのと同時に、美沙の言葉が遠くなる。


バランスを失ったかのように体中の力が抜けていくのを感じる。



立て直すべく足に力をこめるけれど、思い通りに体が動いてくれない。


視界が霞む。




やばい、と。



次に思ったときにはもう暗闇の中だった。