いくらあたしがこっちを見てと願っても、迅は見てくれない。
当たり前のことだ。
あたしは窓から外を見ているから迅が見えるけれど、外にいる迅は窓の奥なんて見ないだろう。
気づいてくれない。
分かってる。
あたししか気づかない。
知っている。
だって、あたしの想いばかりが強いから。
「瑠璃?」
美沙の声にあたしはゆっくりと視線を向ける。
美沙はあたしと目が合うと、今度はあたしが見ていた窓の外に視線を向けた。
「あれは…」
美沙に話していないこと。
あたしの出来事。
あたしの気持ち。
現在の進行状態。
いや、停滞状態?