その際に振り返っては、
「お大事に」
なんて一言かけてくれる。
心優しい奴なんだ。
知ってるんだ。
だからあたしはその背中にさっきと同じくもう一度、
「ありがとね」
そう感謝の気持ちを伝えた。
カラカラと音がして、ピシャリと閉まった音がした。
同時に再び静まる空間。
だけれどさっきのような恐怖は全くなく、むしろ落ち着いて寝れそうだった。
目を閉じて、思う。
素直になろう。
次彼に会ったときは自分の気持ちをしっかり彼に伝えよう。
深谷のように悪戯をし合ったりすることはできないかもしれないけれど、あたしと彼とで違う何かが生まれるはずだ。
決心しよう。
心に素直になろう。
そう思ってあたしは浅い眠りについた。