「いい加減こんなところでサボってないで教室行きなよ」
「けっ…人が珍しく心配して来てやったというのに」
善人風にサボりをあたしのせいにするもんだから、あたしは棒読み状態で言ってやった。
「はいはい、それはどうもありがとうございやしたー」
「感謝してねぇし」
「心なんていらないから見舞い品持って来い、見舞い品」
そんなことを言ってるあたしはどんだけ態度がでかいんだろう、なんて考えたら笑えた。
こんなこと、深谷にしか言えないやって。
深谷はさすがに1時間サボるのはマズイと思ったのだろう。
あたしの髪をゴシャゴシャと乱しては渋々立ち上がる。
「ちゃんと授業受けてお前より頭良くなってやる」
「ふーんだ。1時間でそんなに変わるわけがなかろう」
「いいや、この1時間は大きいぞ」
「いいからさっさと行けよ」
手短にそう言えば、やっぱり渋々カーテンを開いて出て行こうとする。