知らなくていいよ。


知っているはずがない。



あたしが勝手に想ってるだけだ。



〝ありがとう〟



たった五文字の言葉の中に、あたしはたくさんのありがとうを詰め込んだ。



同時に。


ごめんね、も。



勝手に詰め込んで、言葉を吐いただけ。




「なんだよ急に。気持ち悪ぃー」



「…まったく、相変わらず失礼な奴だな」



笑ってくれる。


だからあたしも笑う。



そこにあるのはただの友達という関係を持った二人。



それ以上でもなければ、それ以下でもない。



けれど心地良いと思えるこの関係に、あたしは暫し浸っていたいと思った。