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久々に千秋と買い物に出掛けた。
車の振動は大丈夫だろうか?…とか考えると自然と安全運転になる。
「奏、運転が優しくなったね♪」
「当たり前だろ!千秋は大事な…」
…ヤベ。
危うく《大事な身体》とか言いそうになった。
はぁ…
早くカミングアウトしてくれよ…
千秋の妊娠を知ってから、やたら妊婦さんや小さい子どもに目がいくようになった。
少子化なんて嘘じゃねぇの?
あちこち子どもだらけじゃん?
あ…あの人、お腹大きいな。
千秋もあんな風になるのか…
チラッと千秋を見て、大きくなったお腹をかかえる姿を想像した。
もう俺は子どもの事しか頭になくなっている。
子ども服売り場が気になるし、
本屋に寄っても名付けの本ばかり見てしまう。
今でこうなんだから、生まれてきたら、狂ったように溺愛しそうだ。
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千秋のつわりが治まり、
心なしか食欲が増している気がする。
ある日の休日。
リビングから出て、千秋がまたこそこそ電話していた。
俺はリビングの外で話す声に神経を集中させる。
「名前決めたよ♪」
…おい×2。
普通、二人で話し合って決めるだろ…
俺だっていろいろ考えてんだから。
「…男の子は、《スケ》か《カク》!あ。《弥七》もいいかも♪」
…は?水戸黄門かよっ!!
ふざけてんのか?
「女の子は…《マツ》、《タケ》、《ウメ》とか♪」
…千秋大丈夫か?!
松竹梅なんて有り得ねぇし!!!
…もう我慢ならん。
「千秋!!!!ふざけんな!!!名前は一生モンなんだぞ?!?!」
俺はリビングのドアをバンっと開けて怒鳴った。
「…へ?」
千秋は目が点…
「お前、母親になるってもっと自覚持てよ!!
そんなんだから、今の若いお母さんは…なんて言われるんだそ?!」
千秋が目をぱちぱちさせて俺を見る。
「つわりだって辛かっただろ?!
あれはな、お腹の子が母親に自覚させる為なんだってよ!!」
…ネットからの情報だけど…
「あ…あの…奏?勘違いしてない?あたし…妊娠してないよ?」
…は?
俺、耳おかしくなった?
「…へ?今なんと?」
「あたし妊娠してないよ?」
に、妊娠してない??
「《お母さんかぁ…実感湧かない》って言ってただろ??
《奏にはまだ内緒》…って…。」
「あ…聞いてたの?!
もぉ!!あれは実家の犬の話だよ!!」
「…い…ぬ?」
「そうなの♪もうすぐ赤ちゃんが生まれるんだよ♪」
「つ、つわり…あったじゃねぇか!!」
「つわり??
…あぁ…あれは、職場で虫…とかがランチで出たから、気持ち悪くて…」
「…妊娠してないのか?」
「…残念ながら」
千秋は舌を出して笑う。
…俺の幸せな未来予想図…
…俺の母性に似た感情…
「ち〜あ〜き〜!!!
俺の母性を返せっっ!!!」
俺は千秋の頭をガシガシした。
「い、意味わかんないし!!!」
…ん?ちょっと待てよ?
じゃぁ…作ればいいじゃん♪
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「千秋っ!!」
「はいぃぃ??」
「今から子ども作るぞ!来いっっ!!」
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1ヶ月後…
「奏…」
「ん?どした?」
「…妊娠したみたい♪」
「…念のため聞くけど…誰が?」
「あ・た・し♪」
[完]
奏くんの勘違い…笑
可愛いなぁ…奏くん!
とりあえず、
恋愛LEVELシリーズは…
[糸冬]
また何かテーマが思い付いたら、書こうかな♪
ありがとうございました☆
他シリーズも頑張ります!