「だからッ!ありえないって!」

私、桜神まりやはお母さん、桜神まりこの話の理解に苦しんでいる。

「ようは、いいなずけと結婚すりゃいいんだって!」

お母さんは面倒くさそうに言った

なに言ってるの!?このバカ親!!

結婚すりゃいいって・・・簡単に言わないでよね!

「だからッ!好きじゃない人と、財閥のパイプを太くするために結婚するなんて、絶対イヤなんだから!お母さんの・・・・バカ!」

バタンッ!

勢いよくドアを閉めて・・・と言いたいんだけど、

ウチん家のドアは全部自動ドアだから、ドアをばたんッ・・!

なんていうドラマ的なこと(ドラマ的・・?)ができない

「ウィーン・・・」

自動ドアの音がエントランスに響いてむなしい。

大理石でできたエントランスはボディーガードのいかつい人たちがずらっと並んでいるだけで静まりかえっている

はいているヒールの音がカツカツと大理石で反響してまたまたむなしい。

エレベーターのボタンを押して

中のシャンデリアに照らされながら最上階の自分の部屋にむかう。

ちなみに、ウチの家はマンションじゃなくてまるごと一つ高層ビル。

こんなことにお金つかわなくたって・・

ウチのお父さんは桜神(おうしん)財閥の会長。

桜神財閥は世界有数のお金持ち財閥らしい。

ウチには兄弟もなにもいない

―――――用は一人娘。

必然てきにあとつぎになっちゃう。

けど女だから会社をつぐのはむずかしくて、両親は頭を悩ませてる。

女ですいませんね!(逆ギレ)

周りの人からは

『お金持ちでいいな~』

なんていわれてるけど

お金があるだけ。

おかげでさっきみたいに『いいなずけ』なんてのができちゃうし。

好きじゃない人と結婚するなんてありえないから!

結婚するのはウチなんだよ!?

ウチにだってそういう”好きな人と愛し合って結婚する”っていうロマンチック(?)な『理想』ってものがあるんだからぁ!

しかもいいなずけの顔なんて見たことないし!

ともかく、結婚なんてしないんだから!