その日の夜。
私は有子に全てを話した。
大野先生が私の婚約者であると言う事を・・・。
「そうっか・・・」
「うん・・・」
私はベッドに仰向けになった。
「・・・それよりさぁ」
「ん?」
「何で、大野先生謹慎なんだろうね」
「・・・真山先生を殴ったんだって・・・。アイツ、ムカつくし・・・」
「仁菜は真山先生と――」
「・・・付き合ってた。1年だけ・・・」
「え、ええ!?」
「・・・冗談」
私は体を起こした。
「真山先生は中学の時に陸上でお世話になったの。でも、ある事件が起きてね・・・」
「”ある事件”・・・?」
「うん。学年が1つ上の先輩が・・・死んだの。真山先生のせいで」
「どう言う意味?」
「・・・あの日、雨で校庭が使用出来なくて、第2体育館で練習してたんだ。しかも、バスケで持久力を高めようとね(笑)」
「・・・それで?」
「・・・バスケのゴールを出す最中に・・・ゴールが倒れたんだ。丁度、ゴールの下に私が居たんだ・・・。そんな私を・・・先輩がかばって・・・亡くなった」
「そうだったんだ・・・」
「私は足に怪我だけで・・・済んだんだけど・・・陸上がもう二度と出来なくなったんだ」