その視線に、今までドキドキしていた胸が今度はギュッと誰かの手で、わしづかみにされた気分。



やっぱり……


好きだと気付いた人が、他の人に目を奪われている現場を、ナマで見るのはきついものがある……



それも、いつもの眼鏡越しじゃなく。


秋山さんの視線そのものがサヨさん自身を捉えている事に。


その顔がいつもより少し赤くなっている事に。


そして、その視線が全く私に向けられない事に。


胸の痛みが、ズキズキと音を立てはじめる。



この場に居たくない。


秋山さんが他の女性に目を向けている姿を、見たくない。



気付かれないように1歩、2歩。


後ろへ下がってしまう。