CANDY POT~キャンディーポット~【完】

「ここは、どこ?」

「ここは、琴梨と朱雀クンの部屋だよ?」


「もっもう着いたの!?」

「あったりまえ~~!!」


当たり前の意味が分からないまま私はベッドを出てロビーに行こうとすると


「あははっハシャギすぎた~琴梨は、ここにいなきゃダメだよ?」


手を掴まれてベッドに連れ戻された。


「何で?さすがに先生とかに言っとかなきゃダメじゃないの?」


「それが~あたしね、朱雀クンに怒られちゃったんだ」

は!?・・・何で怒られたの?


「意味分かんないけど・・・明音、何かした?」

「なわけ!!そーじゃなくて、朱雀クンに琴梨のそばにいてあげてって怒られたの」



私の・・・・そばに?
「ビックリしたよ....その時の朱雀クンの顔が凄く真剣だったから。後ね、「俺じゃダメだから・・・」って言って悲しい顔もしてた。」


朱雀・・・






私が悪いよね.....





泣きすぎて・・・



驚きすぎて・・・




気づいたら、こうなってて



明音にも迷惑かけてる。





「琴梨?そんな悲しい顔してちゃダメだよ!朱雀クンが余計に心配しちゃうでしょ?」

「・・・うん。」


いつもいつも


迷惑かけて・・・自分は何もできないまま逃げてる......


いくら、大きくなっても



心は変わらない......



高校生って案外子供だね.....


それって



私だけだ.....


自分だけ、どこか取り残されてる・・・


あのことがあって、人とかかわるのを止めてる



それって、結局ね


自分が逃げてるだけ。


あの時と何も変わって無いし.....



あんなに、朱雀が私を気にかけてくれて



でも


私はそれを裏切るような行為をする.....




何が朱雀といると




楽になる・・・落ち着く・・・好きかも・・・・




こんなバカみたいな気持ち.....




朱雀に会って、浮かれてたんだ



朱雀と一緒だと、震えが来なくて



落ち着く.....
そんな風に勘違いしてたんだ.....



何が・・・何が・・・


好きかも? だ!


冷静になって考えてみなよ!!


バカバカしいじゃん!



それで、結局相手に迷惑をかける....


こんなのが恋愛なわけない.....



ろくな恋愛してない私でも分かるって



いくら好きでも・・・・迷惑かけちゃダメなんだよ。











「え~っと全員いるかー?点呼とれよーー!!」

私が落ち着いたのを見計らって明音とホールに来た。

ユッキ―はホテル全部に響き渡りそうな大声で点呼の確認してるし・・・

結構うるさいよ?





あれから、朱雀とは何でか同室になってたけど.....まぁ芽依さんの作戦なんだろうけど
.....必要以上に・・・いや、もう・・・関わらないって決めた。



何でここに来たかと言うと、オリエンテーリングをやるらしい。


ルールは


50分以内で4人ペアを作って、目的地まで行って写真を撮って帰ってくる。



私はさっそく、明音たちのグループとペアを作り・・・・だけどね.....


明音のペアの男の子が不在らしい。

「よーーし、じゃあ広場に再集合な!」

ユッキ―の言葉でみんなが一斉に広場へ歩きだす。


「明音、ペアの子来た?」

「そーいう、琴梨だって朱雀クン来てないじゃない!」

「朱雀は・・・・琥城君は、後から来るんじゃないかな?」


私は・・・『朱雀』なんて呼べる立場じゃ無い.....


呼んでいいのは琥城君の彼女だけ




「琴梨・・・・、もうさ~2人で行っちゃおうか?」



「えっ・・・・・」
「んじゃあ、全員出発ーー!ちゃんと帰ってこいよ~」


やばっ!もうスタートしちゃった!?






―――その時



「遅刻したーーーー!!」
「やべぇーーーー!!」



へ!? この声って・・・


「琥城と長谷川!!どうどうと遅刻すんな~ちょっとは、頭使えよ!!・・・ほい、早くチームのとこ行け!」


「「はいっ」」


何なの?


あれって・・・琥城君だよね?



・・・と誰? 隣の子....見たこと無い人
「あっ!!長谷川くん!!!こっちこっち~~~」



えっ? 




明音が私の隣で思いっきり手を振ってるんだけど・・・・



もしかして



あの子がペア!?




「あっ!!明音ちゃんーーー」



あ・・明音ちゃん!?



ってやっぱり、あの子がペアなのーーー??



「琴梨~~2人共、来たみたいだから行こう!!」


「うっ・・・うん」


でも、肝心の琥城君は・・・・



ご機嫌斜めーーーーー