CANDY POT~キャンディーポット~【完】

明音はそそくさと行っちゃったし


我ながら、「そばにいちゃダメですか?」は大胆発言だったかも.....


恥ずかしくなってきた~




「すーすー.....」


「すぐに、助けれなくて・・・ごめんね」


寝ている朱雀の顔の前で小さな声で言った。


それにしても、朱雀がこうなったのは明音のせいだよね!?


明音にはちゃーーんと謝ってもらわないと!!



「なにブツブツ言ってんの?」

「朱雀!?寝てなきゃ!!」


心声が全部漏れてたみたいで、朱雀を起こしちゃった。


そういう朱雀は、私の顔をじろじろと観察対象でもあるかのように見る。
「私の顔・・・・なんか付いてる?」

おそるおそる聞いてみた。

だって・・・ニヤニヤしながらずっと見てくるんだもん!!


「なぁ、琴梨」

やっと朱雀が口を開いたので全身ビックリしちゃって、体が震えた。

「な・・なに?」


目は泳ぐし、上手くしゃべれないし・・・・

朱雀だからこそ、こうやって話せるのかな?


だって、他の男の子とだったら


こんな間近で話せれないもん!



「琴梨・・・こっち向いて?」


「向・・・向いてるじゃん.....」



・・・・でもやっぱり、男の子に免疫が無い私には



間近で話す


という芸当は無理なので・・・・




「向いてないから!!窓ばっかり見てんじゃん!!」

「み・・・・見てないよぉ」


嘘つくの下手だな~と自分に感心しますわ.....


何で朱雀はこんなに、間近で話せれるの?


こんなにカッコいい顔を見せられても目のやり場に困るから!!!



「・・・・なぁ、キスして?」



「・・・・・・・ええええエエえ!!???」



あっ・・・・・あなたは何を........



キスですかぁーーー????!!!!!


「あはっ・・・・顔真っ赤!!プチトマトみたい!!」



「プチ・・・トマト・・・・・」



わなわなわな・・・・・と体中が震える.....


「だめ?プチマ!」


りゃ・・・・略すなーーーーー!!
「・・・・何で?・・・・・・」


「何でか?・・・・・う~ん、謝られたから?お礼にね!」

謝った・・・・?


それだけで!?

ってか朱雀、キャラ変わり過ぎだから!!!



「で、私がするの?」

う~ん・・・・ヘンな質問すぎて怖いんだけど




「じゃあ、俺がしようか?プチマーーー!」



「だから、略さないでよお!!」



何で、朱雀はこんなに・・・はっ恥ずかしいことを平気で言えるんだろう


私には理解できないよぉ~


「ね?・・・・ダメ?」

「い・・・......」


だーかーらーこっちを見ないでください~~!!

涙腺がとても弱い私は、またしても瞳の周りに


じわぁ~っと涙が溜まってくるのが分かる。


こんな狭い部屋で・・・朱雀と....


「琴梨!?・・・もしかして泣いてる?」

「うっ・・うぅ・・・っ」


朱雀の言葉を聞いた瞬間


頬に温かいものが流れてきて






朱雀に抱きついていた―――――・・・・・・........


「・・・・――――り!琴梨!!!」


「・・・んっ・・うわぁっ!!」

目の前には明音が凄い形相で私の肩を掴んでいる光景が広がった。



へ?


ここどこ?


広すぎるベッドに広すぎる部屋、豪華な家具・・・・



明音の後ろ側にあるのは.....


ろっ・・露天風呂ーーー!!??



「ちょっと!琴梨っ聞いてんの?」


「あっ!?ごめんごめん」


何で明音・・・怒ってんの?


「琴梨・・・大丈夫?心配したよ~~朱雀クンなんか、大慌てで先生呼んで大変だったんだから!」



「船酔いの朱雀が・・・先生を呼んで、大慌て?」


全く意味が分かんないし、話についていけない・・・・
「ここは、どこ?」

「ここは、琴梨と朱雀クンの部屋だよ?」


「もっもう着いたの!?」

「あったりまえ~~!!」


当たり前の意味が分からないまま私はベッドを出てロビーに行こうとすると


「あははっハシャギすぎた~琴梨は、ここにいなきゃダメだよ?」


手を掴まれてベッドに連れ戻された。


「何で?さすがに先生とかに言っとかなきゃダメじゃないの?」


「それが~あたしね、朱雀クンに怒られちゃったんだ」

は!?・・・何で怒られたの?


「意味分かんないけど・・・明音、何かした?」

「なわけ!!そーじゃなくて、朱雀クンに琴梨のそばにいてあげてって怒られたの」



私の・・・・そばに?
「ビックリしたよ....その時の朱雀クンの顔が凄く真剣だったから。後ね、「俺じゃダメだから・・・」って言って悲しい顔もしてた。」


朱雀・・・






私が悪いよね.....





泣きすぎて・・・



驚きすぎて・・・




気づいたら、こうなってて



明音にも迷惑かけてる。





「琴梨?そんな悲しい顔してちゃダメだよ!朱雀クンが余計に心配しちゃうでしょ?」

「・・・うん。」


いつもいつも


迷惑かけて・・・自分は何もできないまま逃げてる......


いくら、大きくなっても



心は変わらない......



高校生って案外子供だね.....


それって



私だけだ.....