明音の真下には・・・・
完璧なグロッキー状態の朱雀がいた。
「・・・・琴・・・・梨」
「ちょっと!明音!先生!!早く!!」
「えっ!?うん!!」
明音に命令を出し、私は朱雀を救護室に連れて行こうとするけど・・・
「ごめ・・・・動いたら・・・ヤバい」
「えっ!?・・どうしよ」
あたりを見回してみたけど、ここは私たち以外誰もいない。
多分、みんなは自分たちの部屋とかで各自好きなことをしているんだろう。
いくら豪華客船だろうと、人手がなきゃ朱雀を運べないじゃない!!!
「朱雀ぅ....どうしよう」
急に心細くなった私は泣きだしてしまった。
「・・・琴梨・・・・泣き虫だな」
「うっ・・・グロッキーっ・・・状態の人に言われたくないっ」
「先生ーーー!!!こっちです!!」
「あらっ・・・琥城君!!大丈夫??・・・霧咲さん?」
明音が先生を呼んでくれて、朱雀は救護室に運ばれていった。
「先生・・・・私、琥城君のそばにいちゃダメですか?」
「えっ・・・いいわよ。じゃあ、琥城君の事、頼むわね」
「・・・・・はい!」
「良かったね、琴梨」
「うん・・・」
あんまり広くない救護室に2人きり
明音はそそくさと行っちゃったし
我ながら、「そばにいちゃダメですか?」は大胆発言だったかも.....
恥ずかしくなってきた~
「すーすー.....」
「すぐに、助けれなくて・・・ごめんね」
寝ている朱雀の顔の前で小さな声で言った。
それにしても、朱雀がこうなったのは明音のせいだよね!?
明音にはちゃーーんと謝ってもらわないと!!
「なにブツブツ言ってんの?」
「朱雀!?寝てなきゃ!!」
心声が全部漏れてたみたいで、朱雀を起こしちゃった。
そういう朱雀は、私の顔をじろじろと観察対象でもあるかのように見る。
「私の顔・・・・なんか付いてる?」
おそるおそる聞いてみた。
だって・・・ニヤニヤしながらずっと見てくるんだもん!!
「なぁ、琴梨」
やっと朱雀が口を開いたので全身ビックリしちゃって、体が震えた。
「な・・なに?」
目は泳ぐし、上手くしゃべれないし・・・・
朱雀だからこそ、こうやって話せるのかな?
だって、他の男の子とだったら
こんな間近で話せれないもん!
「琴梨・・・こっち向いて?」
「向・・・向いてるじゃん.....」
・・・・でもやっぱり、男の子に免疫が無い私には
間近で話す
という芸当は無理なので・・・・
「向いてないから!!窓ばっかり見てんじゃん!!」
「み・・・・見てないよぉ」
嘘つくの下手だな~と自分に感心しますわ.....
何で朱雀はこんなに、間近で話せれるの?
こんなにカッコいい顔を見せられても目のやり場に困るから!!!
「・・・・なぁ、キスして?」
「・・・・・・・ええええエエえ!!???」
あっ・・・・・あなたは何を........
キスですかぁーーー????!!!!!
「あはっ・・・・顔真っ赤!!プチトマトみたい!!」
「プチ・・・トマト・・・・・」
わなわなわな・・・・・と体中が震える.....
「だめ?プチマ!」
りゃ・・・・略すなーーーーー!!
「・・・・何で?・・・・・・」
「何でか?・・・・・う~ん、謝られたから?お礼にね!」
謝った・・・・?
それだけで!?
ってか朱雀、キャラ変わり過ぎだから!!!
「で、私がするの?」
う~ん・・・・ヘンな質問すぎて怖いんだけど
「じゃあ、俺がしようか?プチマーーー!」
「だから、略さないでよお!!」
何で、朱雀はこんなに・・・はっ恥ずかしいことを平気で言えるんだろう
私には理解できないよぉ~
「ね?・・・・ダメ?」
「い・・・......」
だーかーらーこっちを見ないでください~~!!
涙腺がとても弱い私は、またしても瞳の周りに
じわぁ~っと涙が溜まってくるのが分かる。
こんな狭い部屋で・・・朱雀と....
「琴梨!?・・・もしかして泣いてる?」
「うっ・・うぅ・・・っ」
朱雀の言葉を聞いた瞬間
頬に温かいものが流れてきて
朱雀に抱きついていた―――――・・・・・・........
「・・・・――――り!琴梨!!!」
「・・・んっ・・うわぁっ!!」
目の前には明音が凄い形相で私の肩を掴んでいる光景が広がった。
へ?
ここどこ?
広すぎるベッドに広すぎる部屋、豪華な家具・・・・
明音の後ろ側にあるのは.....
ろっ・・露天風呂ーーー!!??
「ちょっと!琴梨っ聞いてんの?」
「あっ!?ごめんごめん」
何で明音・・・怒ってんの?
「琴梨・・・大丈夫?心配したよ~~朱雀クンなんか、大慌てで先生呼んで大変だったんだから!」
「船酔いの朱雀が・・・先生を呼んで、大慌て?」
全く意味が分かんないし、話についていけない・・・・
「ここは、どこ?」
「ここは、琴梨と朱雀クンの部屋だよ?」
「もっもう着いたの!?」
「あったりまえ~~!!」
当たり前の意味が分からないまま私はベッドを出てロビーに行こうとすると
「あははっハシャギすぎた~琴梨は、ここにいなきゃダメだよ?」
手を掴まれてベッドに連れ戻された。
「何で?さすがに先生とかに言っとかなきゃダメじゃないの?」
「それが~あたしね、朱雀クンに怒られちゃったんだ」
は!?・・・何で怒られたの?
「意味分かんないけど・・・明音、何かした?」
「なわけ!!そーじゃなくて、朱雀クンに琴梨のそばにいてあげてって怒られたの」
私の・・・・そばに?