CANDY POT~キャンディーポット~【完】

「・・・・んっ.... ?」

あれ!?ソファで寝ちゃってるじゃん.....

朝日がまぶしいくらい私の顔面に直撃・・・・


「うぅ....まぶしいィ....」

手で顔を隠しながら(?)ソファから起きて、朝食の用意をする。


6:36

「うん!良い時間!」

結構目覚め良く起きれた方だから・・・・いろいろ作っちゃおうかな?


あっ!お母さんたちの分も作っちゃおうかな?


あれ?帰ってきてるかな?



私は急いで隣の和室に行き、お母さんたちを確認するも....



「・・・・・・・。」


和室はガラーンとしていて


「・・・帰ってきてないか....」


せっかく・・・夢森に受かったのに......


私が夢森学園を受験しようと思ったのには...もう1つ理由があるんだ。

それは、お母さんたちに認めてほしかったから....

少しでも、少しでも...私の方を見てほしかったから・・・・


・・・・無理かなぁ.....


帰って来てはいるんだろうけど....私に顔を見せてくれたっていいじゃん


「・・・・ご飯の準備しよっ.....」





ピンポーン


明音かな?


「はーーい!!今、出まーす」





―――ガチャッ
「琴梨―――――――――!!!」


は?.......

「お母さん.....?」

扉の奥にいたのは・・・・


「あら~お母さんだけじゃないわよ!お父さんもよ!ね?」


お母さんの後ろには・・・・

「あぁ、ただいま・・・琴梨」

夫婦そろって並んじゃって・・・・


―――バタン!!




「えっ!!琴梨ーーー??」



何よ....何よ....今さら?
ありえないから.....

「帰って・・・・」


・・・・うっ..うっ...


もう!何で私は泣いてるの?


私はその時・・・


声を押し殺して泣いていた。




「琴梨?・・・・・琴梨?・・・・開けなさいよ...」



「何で・・・開けなきゃ・・・いけないの?」


うっ・・・明日が...明日がとっても楽しみだったのに


朱雀に会えると思ったのに



何でよ!!!??
「何でか?・・・・・琴梨、今日は入学式でしょ?夢森学園の・・・」


「えっ!?」


何で・・・知ってるの?


志乃舞さんから・・・聞いたの?


「何で知ってるの?って聞きたい?・・・・教えてあげるから・・・開けて?」

急にお母さんの声が優しくなって・・・



ガチャッ




「ごめんね・・・琴梨。」


「・・・・・。」

「何で知ってるか・・・・分かる?」

「・・・ううん、分かんないよ」


「そっか~そか~じゃあ、内緒にしておくわ!」

「それがいいな、琴美。」

「そうしましょっ」



はっ?・・・・何で朝からこんなにバタバタするわけ?

でも・・・すぐ、お母さんたちのペースにハマる私もバカだよね



「行くよ~入学式!乗って!」

「えっ!?・・・うん」


最初は意味不明だったけど・・・・やっぱり、お母さんたちが好きなんだな~

こんな変わった人たちだけど・・・ね?


・・・ってタクシーかよ?

「ほら~早く乗った乗った~~!!」


「もう!訳分かんない!!」


「あら、その訳分かんない夫婦の娘なのよ?琴梨は!」

「はいはい......」


私はしぶしぶ、タクシーに乗り....



「はい、到着!」


「タクシーって案外早いんだね?」


親子で会話をかわす・・・私にはそんな何でも無いことが・・・



とっても嬉しく思えた。



――――――――――




「じゃあ、琴梨~保護者会が終わったから、帰るね!気をつけて帰ってきなさいよ~」


「うん!」

お母さんたちが隣にいる、嬉しさを噛み締めながらの入学式は・・・とっても良いもので
・・・・・

それに、夢森学園に来たって・・・実感が湧いてきて


長い長い入学式が、あっというまに終わった。


「琴梨~早くクラス発表見に行こう?」

「明音・・・・うん!!」


「良かったね・・・琴梨」

私以上に明音が喜んでくれて・・・・やっぱり、明音だなぁ~って思った。




「うっわ~~凄い・・・」


クラス発表のボードには・・・・


男・・男・・男・・・・


「ひえ~~~~~~っ!!」

「こっ・・・・琴梨!!!」


・・・・あれ?



あれ?・・・・震えが・・・来ない






「琴梨ーーーーー!!」


「明音ーーーーー!!」

嬉しすぎて嬉しすぎて・・・2人で抱き合っていた。



「あっ!!琴梨ーークラス一緒だよ~あと、朱雀クンも!」

「うっそ・・・・・ホント?」

「良かったね!・・・でも、まだ拒否症が完全に治ったわけじゃないと思うから・・・」


そうだよね・・・たしか、先生もこれは『気持ちの問題』って言ってたと思う。

今の私は・・お母さんたちが帰って来たから、ただ単にテンションが上がってるだけかも・・・


油断できないのかな・・・

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