CANDY POT~キャンディーポット~【完】

「運命なのよ!これは凄いことよ?」

「凄い・・・事?」

その時の明音の顔は、あのときのように・・・・

とっても真剣な顔だった....




―――――バフンッ


私は明音の家を出て急いで家に戻り、無駄にでかいソファにダイブした。


「はぁ~~」



恋・・ね~



テレビをつけたけど、まったく面白くなかった。


暇だなぁ~



あっ!


暇だったので携帯の辞書機能を利用して『恋』という意味を調べてみた。



『恋』・・・特定の異性に強くひかれること。

また、切ないまでに深く思いを寄せること



「特定の異性に・・・強くひかれる・・こと」


今まで私はそんなことはあっただろうか?



ううん.....無いよね




何に関しても・・・逃げてきた。

怖くて・・・怖くて......



自分の体が自分じゃ無いみたいで


自分からずっと・・・・逃げてたのかもしれない。



もしかしたら、これは自分を変えれる大きな一歩なのかも......



・・・そうだったのなら、頑張らなきゃ




明日の入学式に話しかけて....



それで、もしもクラスが一緒だったら・・・・・





そんな事を考えてるうちに私は眠りについていた。



本当に久しぶりだなぁ~


こんなに男の子の事を考えたのは.....



明日がとっても楽しみだよ。


「・・・・んっ.... ?」

あれ!?ソファで寝ちゃってるじゃん.....

朝日がまぶしいくらい私の顔面に直撃・・・・


「うぅ....まぶしいィ....」

手で顔を隠しながら(?)ソファから起きて、朝食の用意をする。


6:36

「うん!良い時間!」

結構目覚め良く起きれた方だから・・・・いろいろ作っちゃおうかな?


あっ!お母さんたちの分も作っちゃおうかな?


あれ?帰ってきてるかな?



私は急いで隣の和室に行き、お母さんたちを確認するも....



「・・・・・・・。」


和室はガラーンとしていて


「・・・帰ってきてないか....」


せっかく・・・夢森に受かったのに......


私が夢森学園を受験しようと思ったのには...もう1つ理由があるんだ。

それは、お母さんたちに認めてほしかったから....

少しでも、少しでも...私の方を見てほしかったから・・・・


・・・・無理かなぁ.....


帰って来てはいるんだろうけど....私に顔を見せてくれたっていいじゃん


「・・・・ご飯の準備しよっ.....」





ピンポーン


明音かな?


「はーーい!!今、出まーす」





―――ガチャッ
「琴梨―――――――――!!!」


は?.......

「お母さん.....?」

扉の奥にいたのは・・・・


「あら~お母さんだけじゃないわよ!お父さんもよ!ね?」


お母さんの後ろには・・・・

「あぁ、ただいま・・・琴梨」

夫婦そろって並んじゃって・・・・


―――バタン!!




「えっ!!琴梨ーーー??」



何よ....何よ....今さら?
ありえないから.....

「帰って・・・・」


・・・・うっ..うっ...


もう!何で私は泣いてるの?


私はその時・・・


声を押し殺して泣いていた。




「琴梨?・・・・・琴梨?・・・・開けなさいよ...」



「何で・・・開けなきゃ・・・いけないの?」


うっ・・・明日が...明日がとっても楽しみだったのに


朱雀に会えると思ったのに



何でよ!!!??
「何でか?・・・・・琴梨、今日は入学式でしょ?夢森学園の・・・」


「えっ!?」


何で・・・知ってるの?


志乃舞さんから・・・聞いたの?


「何で知ってるの?って聞きたい?・・・・教えてあげるから・・・開けて?」

急にお母さんの声が優しくなって・・・



ガチャッ




「ごめんね・・・琴梨。」


「・・・・・。」

「何で知ってるか・・・・分かる?」

「・・・ううん、分かんないよ」


「そっか~そか~じゃあ、内緒にしておくわ!」

「それがいいな、琴美。」

「そうしましょっ」



はっ?・・・・何で朝からこんなにバタバタするわけ?

でも・・・すぐ、お母さんたちのペースにハマる私もバカだよね



「行くよ~入学式!乗って!」

「えっ!?・・・うん」


最初は意味不明だったけど・・・・やっぱり、お母さんたちが好きなんだな~

こんな変わった人たちだけど・・・ね?


・・・ってタクシーかよ?

「ほら~早く乗った乗った~~!!」


「もう!訳分かんない!!」


「あら、その訳分かんない夫婦の娘なのよ?琴梨は!」

「はいはい......」


私はしぶしぶ、タクシーに乗り....



「はい、到着!」


「タクシーって案外早いんだね?」


親子で会話をかわす・・・私にはそんな何でも無いことが・・・



とっても嬉しく思えた。