CANDY POT~キャンディーポット~【完】

「はっ!?じゃなくて~受験合格おめでとう!これも何も芽依さんのお陰だね?早く電話してあげな」


「うそ・・・・ホントに?」


「あたしは嘘はつかないの!早く電話!!ね?」


「・・・・・うん!!」



夢じゃないんだ・・・・・私が夢森に・・・・・嘘みたい・・・


―――プルルルルルルッ


『もしもし、琴梨ちゃん?』


「芽依さん!!夢森に受かりました!!」


『えっ!?やったじゃない!!さすが、琴梨ちゃんよ~!!』


「さすがじゃないですよ・・・・全部全部、芽依さんのおかげです!ありがとうございました!」


『あはははっあたしは、何もしてないよ~琴梨ちゃんが頑張っただけ!!おめでとう!』


「ホントにありがとうございました!!」..............





―――パタンッ


うわっ!? 47分も話してた....


「琴梨ちゃーーん!電話終わったかしら??」

「あっ!はいっ」


「ご飯出来たわよ~~」



ずっと玄関で話してたから・・・いつのまにか明音はリビングに行ってたみたいだ。



明音のお母さん、望月 志乃舞【モチヅキ シノブ】さんの通称、『志乃舞さんコール』

がかかったので、急いでリビングへダッシュする。



――――――


「ごちそうさまでした~」

「ふふっ琴梨ちゃんはとっても美味しそうに食べてくれるから、作りがいがあるわ」

「そうですか~?」


今は、ちょうど食べ終わったところ


やっぱり志乃舞さんのご飯は最高においしい!


まぁ、お母さんのご飯はあんまり食べたことが無いってのが本音なんだけどね?


だから、志乃舞さんのが『おふくろの味』みたいな感じ......


時々ね、こうやって志乃舞さんのご飯を食べてる時


お母さんのおみそ汁の味・・・とか、カレーの味とか・・・


どんな味なんだろうな?って思う時がある。



「琴梨?」
「・・・・へ?」

「琴梨!!ちゃーんと夢森に受かったんだから、心配しなくていいの!明るく笑顔でいよう」



「・・・・うん!」


私は明音の言葉をしっかりと胸に留め、思いっきりご飯を頬張った。







――――――――――




「明音ぇ~~お腹痛いよ~~」


「食べすぎだから~!限度ってもんがあるでしょ?」

「しゅいませぇ~~ん」

「真面目に聞きなさい!!」



「はっ・・はい!!!」




怒られちゃったよ~~


ご飯を頬張ったとこまでは良かったケド・・・・


そこから急にスイッチ入っちゃって、がつがつと食べちゃいました~



んで、自業自得.....ってなわけで



明音の部屋で苦しみ中

う~う~......苦しいィ~




♪~♪~♪~


「琴梨~メールじゃない?」

「うっそ~携帯取ってぇ~~~」


「・・・・はいはい」


明音はしぶしぶ私の携帯を取ってくれて、掌に置いてくれた。

「は~いお嬢様~携帯ですわよ!」

「・・・・ありがとうございます?」


「そこは、ノリなさいよ!!あたしだけバカみたいじゃない!!」


・・・・明音、逆ギレ?   ま、いっか~


パカッ


新着メール1件

【朱雀】


「朱雀!?」

「なっ・・何よ!?ビックリするじゃない!!」


えっ・・・・だって、私・・・・


「何かあったのなら、あたしにすぐに言う!約束したでしょ?あと、芽依さんにも!」
「うん・・分かってるよ・・・約束だもん!」


そうして、明音に朱雀と会った経緯やその他もろもろを話した。


――――――


「へぇ~朱雀クンには拒否反応は・・・怒らなかったのね?」


「・・・・うん、ホントにビックリして.....あれ?治ったの?って思ったら、治って無くて・・・」


「ふ~ん・・・結構早めになっちゃったんだけど、芽依さんはさすがだね!」

「何で?」


明音は凄い得意げに何回も何回も頷いている。


「こ・れ・は!!恋よ~!コイ!魚じゃなくてね?そこ注意だから!」


いや~・・・別にそこは注意しなくても、誰にでもわかるよーなー
「運命なのよ!これは凄いことよ?」

「凄い・・・事?」

その時の明音の顔は、あのときのように・・・・

とっても真剣な顔だった....




―――――バフンッ


私は明音の家を出て急いで家に戻り、無駄にでかいソファにダイブした。


「はぁ~~」



恋・・ね~



テレビをつけたけど、まったく面白くなかった。


暇だなぁ~



あっ!


暇だったので携帯の辞書機能を利用して『恋』という意味を調べてみた。



『恋』・・・特定の異性に強くひかれること。

また、切ないまでに深く思いを寄せること



「特定の異性に・・・強くひかれる・・こと」


今まで私はそんなことはあっただろうか?



ううん.....無いよね




何に関しても・・・逃げてきた。

怖くて・・・怖くて......



自分の体が自分じゃ無いみたいで


自分からずっと・・・・逃げてたのかもしれない。



もしかしたら、これは自分を変えれる大きな一歩なのかも......



・・・そうだったのなら、頑張らなきゃ




明日の入学式に話しかけて....



それで、もしもクラスが一緒だったら・・・・・





そんな事を考えてるうちに私は眠りについていた。



本当に久しぶりだなぁ~


こんなに男の子の事を考えたのは.....



明日がとっても楽しみだよ。


「・・・・んっ.... ?」

あれ!?ソファで寝ちゃってるじゃん.....

朝日がまぶしいくらい私の顔面に直撃・・・・


「うぅ....まぶしいィ....」

手で顔を隠しながら(?)ソファから起きて、朝食の用意をする。


6:36

「うん!良い時間!」

結構目覚め良く起きれた方だから・・・・いろいろ作っちゃおうかな?


あっ!お母さんたちの分も作っちゃおうかな?


あれ?帰ってきてるかな?



私は急いで隣の和室に行き、お母さんたちを確認するも....



「・・・・・・・。」


和室はガラーンとしていて


「・・・帰ってきてないか....」


せっかく・・・夢森に受かったのに......


私が夢森学園を受験しようと思ったのには...もう1つ理由があるんだ。

それは、お母さんたちに認めてほしかったから....

少しでも、少しでも...私の方を見てほしかったから・・・・


・・・・無理かなぁ.....


帰って来てはいるんだろうけど....私に顔を見せてくれたっていいじゃん


「・・・・ご飯の準備しよっ.....」





ピンポーン


明音かな?


「はーーい!!今、出まーす」





―――ガチャッ