CANDY POT~キャンディーポット~【完】

「すいません、ちょっと電話かけます・・」

「全然いいよ!!」




急いで明音に電話した。



明音は1コールで出た。


『琴梨!!???琴梨!!??』

「ごめん。。。。ごめん・・・・明音っ」

明音の声を聞いたら安心して涙が止まらなくなった。


『無事だよね?』


「一応っ・・・・ひっく・・・ごめんねごめんね・・・明音!!っ」


『琴梨・・・・何があったの?・・・・電話がかかったと思ったら、琴梨の声が聞こえて・・・・・知らない男の声が聞こえて、切れちゃうんだもん・・・ビックリしたよ。」
そりゃそうだ、明音からしたら何が何だか分かる状況じゃない。

「・・・・ごめん、明日・・話すね・・・」


『うん、あたしからも一発、話があるからっ琴梨の声が聞けて良かった。今、歩き?』


「ううん、助けてくれた谷野 芽依さんに送ってもらってるんだ・・・とってもいい人なんだ・・・」


そう言って芽依さんを見ると、顔が赤くなって照れている様子だった。


『そっか・・・良かった......じゃあ、また明日ね』

「うん、バイバイ」

『バイバイ』


―――パタンッ


「明音ちゃんにも会ってみたいな~、良い子そうだね。声がこっちにも聞こえてたよ」


「えっ!?・・・・明音は私と正反対な女の子です。成績も良くて可愛くて責任感あって、友達も多くて・・・・・優しくて・・・何もかも私と正反対なんです」


「正反対・・・っか~・・・あっ!!メアド聞いていい?っと高校はどこに入る予定?」

運転しながら芽依さんは片手で携帯を指差した。

「あっ!はい・・・高校は夢森に入る予定です・・・・無理だと思うけど」

「夢森っ!?そっか~琴梨ちゃん、入ってくれるんだ~~嬉しい!!あっと携帯、携帯~・・・あった!赤外線よろしく」

凄い・・・・運転しながら、携帯を鞄の中から出して私の掌に置いた。


「芽依さん凄いですね・・・・器用だ」






うちへの道のりは言っておいたので、着くまであと15分ほどだ

「赤外線、完了っ!はい、携帯です」

「あっ、ありがとう!」

携帯をまたも片手で受け取ると、鞄の中へひょいっと入れた。


「受験シーズンだもんね~・・・んじゃあ、あたしと受験勉強しよう!!で、絶対に受からせてあげる!!」


・・・・・芽依さんは変わった人だな~っとつくづく思った。

だって・・・1か月ちょいしかないのに


「芽依さんに迷惑ですって・・・それに、あと少ししか残って無いし・・・」

「だからだよ!!最後の踏ん張り?てきな!?ね?やろやろーーー」


ホントにいいのかな?

・・・・ハッキリ言ってめっちゃ嬉しい........








「お願いしてもいいんですか??」

私が心配顔で芽依さんを見ると・・・・





「谷野 芽依様を甘く見ないでよ!!」

運転中なのに私の顔を見てニッコリと笑った。


やっぱり、いい人だなぁ~



「芽依さん!!前!!前っ!!」

「おわっ!?」




・・・・・でも、やっぱりドジっ子だ((笑

「送ってもらってしまって・・・・・すいません」

今は、私の家の前にいる。


あれからちょっとしたくらいで、家に着いた。

「んじゃあ、受験勉強頑張ろうね☆」


「あっ!はいっ!」


何で・・・ここまでしてくれるんだろう?


という疑問を抱えたままだが、これは芽依さんの優しさということにしておいた。


外は真っ暗.......早く入らなきゃ



「バイバ~~イ、明音ちゃんによろしくね~」


「さよなら」





・・・・・芽依さん、行っちゃった。



~次の日~


あの夜はお風呂に入ってすぐに寝た。

お母さんにもお父さんにも・・・・・何も話さず。


ってか2人とも、あんまり帰ってこないから......



「おはよう~・・・・っていないよね......」



そう、今日だって帰ってきてないんだ。



1人の朝食なんて当たり前



「おはよう」なんて言われたのも数えるほど・・・・





だって・・・迷惑かけれないし......


私は良い子でいなきゃいけないんだもん......


これは凄く小さい頃から思っていたこと。


「あっ!芽依さんから」


昨日、リビングの机に置きっぱなしにしてた携帯がたまたま目に入った。


――パカッ


【芽依さん】


おはよ~~ちゃんと寝れた?

あっ・・と

今日、空いてる? 勉強しよっ!




本気なんだ・・・受験勉強するの........



――返信


おはようございます(^v^)

一応、空いてます.....


ホントにいいんですか?



「送信~っと・・・」
そろそろ、学校に行こう・・・・



―――ピンポーン

?  誰だろう?


「今、出まーす」


ガチャッ


「おはよう、琴梨」


「あっ!明音!?」


そこには・・・・明音が立っていた。


いつもは私が迎えに行く方だったから、明音に来てもらうのは初めてかも.......


「琴梨・・・ちょっといい?」

「えっ!?いいけど・・・・」


何故か、明音の顔が今まで見たことのない・・・・・


真剣な顔をしていた。



分かんないけど・・・後ずさりしてしまって、足がすくんだ。



「琴梨・・・・・あたし、すっごい心配だったんだ......」


「・・・うん、ごめんなさい.....」


私がうつむきながら言うと・・・・