CANDY POT~キャンディーポット~【完】

「高校生くらいかな?」


「・・・いえ、中3・・・です」


思うように上手く話せない。

声も出ない。



まだ、あの時の感触とざわざわ感が残っている。


「中3か~~大人っぽいね、美人さんだ~」



「・・・・全然・・・ですよ・・・・」



「あっ!名前、聞いてなかった 聞いてもいい?」



「霧咲・・・琴梨です」


「ことりちゃん!?・・・・・ふふっ可愛名前ね、私は谷野 芽依(タニノ メイ)よ」


「芽依さん....さっきは、ありがとうございました。」


「いやいや~でも、ホントにビックリした.....琴梨ちゃん、今日帰りは1人だよね?」


「・・・・・はい」


「じゃあ、一緒に帰ろう 送ってあげる」


なんて、優しい人だろう......



「いえ、悪いですよ」



「大丈夫!もう、バイト終わりだし」
「バイトだったんですか?」

芽依さんと話していると段々、落ち着いてきた。


「そうだよ~実家は結構、お金あるんだけど....やっぱり、自分で働いたお金の方がお金のありがたみが分かるかな~って」


凄い....ちゃんと考えてるんだ


私も見習わなきゃ




「芽依さんは学生なんですか?」


「一応、夢森の大学部4年よっ」


「っ!!??夢森ですか???」


えっ・・・・・・こんな身近に夢森学園の生徒さんがいたなんて・・・


かなり、嬉しいかも





「あははっそんなに驚く!?んじゃあ、続きは車の中で、ね?ちょっと待ってて、帰り準備するから」


「あっ・・・・すいません」


「何謝るのーーー?別にいいんだよ♪」


スタイルいいし・・・・可愛いし・・・優しいし・・・面倒見が良いし・・・



芽依さんって凄くモテるんだろうなーーー


「おしっ、よし帰ろっか」

「えっ!?店長さんとかに言わなくていいんですか?」


「あ~そこは大丈夫、ここのお店うちの親のチェーン店だからっ谷野って名字で聞き覚えない?」


そういって芽依さんはニカッと笑った。


谷野・・・・・谷野っていったら


「あの、谷野グループですか!?」


「そうだよ、あの谷野グループの娘なんだっ」


「えええええっ!?」



まったく


芽依さんには驚かされっぱなしだ。
谷野グループって言ったら・・・・


ホテルでしょ・・・音楽ホールに病院・・カラオケ、エステ・・・幅広く活躍している大きな財閥の一つだ。

誰だって知ってる、谷野グループの令嬢が・・・


「芽依さん!!??」


「ビックリした?だから、勝手に帰ってもいいんだ~ホントはダメなんだけどっ」

芽依さんはペロッと舌を出して無邪気に笑った。


「本当に迷惑かけて・・・・すいません」

「だから~いいって、あたしの我がままってことで?」


世界にはこんないい人がいるなんて・・・・・








そうして、芽依さんに連れられて車に入った。

「汚くて、ごめんね~」


「いやいや、すっごい綺麗です!!」




車の中は隅々まで掃除されてて


とっても綺麗だった。
「今、何時か分かる?」

芽依さんの運転で車を走らせてから、ちょっとした時

「え~っと・・・」

携帯がたしか鞄に・・・


あった!!


パカッ


16:19

「4時過ぎです」


「2月だと暗くなるの早いね~~18時くらいかと思ったよ~」


たしかに・・・・もう、真っ暗



あっ!・・・・・っと新着メール・・・18通!!??


「18通ぅぅ!!???」


「うわっ!どうした?」

芽依さんは凄い驚いた顔で見つめてきた。

丁度、信号待ちの時だった。

「何か・・・・メールが18通きてて・・・・・」


「18通??・・・凄いわね、あたしもそこまで、きたことナイかも」






誰からだろ・・・・?


急いで受信ボックスを開き、見てみると........
【明音】

「明音!!??」

「何?明音ちゃん?からだったの?」

「はい・・・・」


18通、全部が明音からだった・・・・

内容は


何があったの!?

心配だよ!!!

電話かメール頂戴!!!



などと・・・

私を心配してくれてるメールだった・・・・・・



ゴメン.......

私があの時、ちゃんと明音の言葉に耳を傾けていれば。。。。
「すいません、ちょっと電話かけます・・」

「全然いいよ!!」




急いで明音に電話した。



明音は1コールで出た。


『琴梨!!???琴梨!!??』

「ごめん。。。。ごめん・・・・明音っ」

明音の声を聞いたら安心して涙が止まらなくなった。


『無事だよね?』


「一応っ・・・・ひっく・・・ごめんねごめんね・・・明音!!っ」


『琴梨・・・・何があったの?・・・・電話がかかったと思ったら、琴梨の声が聞こえて・・・・・知らない男の声が聞こえて、切れちゃうんだもん・・・ビックリしたよ。」
そりゃそうだ、明音からしたら何が何だか分かる状況じゃない。

「・・・・ごめん、明日・・話すね・・・」


『うん、あたしからも一発、話があるからっ琴梨の声が聞けて良かった。今、歩き?』


「ううん、助けてくれた谷野 芽依さんに送ってもらってるんだ・・・とってもいい人なんだ・・・」


そう言って芽依さんを見ると、顔が赤くなって照れている様子だった。


『そっか・・・良かった......じゃあ、また明日ね』

「うん、バイバイ」

『バイバイ』


―――パタンッ


「明音ちゃんにも会ってみたいな~、良い子そうだね。声がこっちにも聞こえてたよ」


「えっ!?・・・・明音は私と正反対な女の子です。成績も良くて可愛くて責任感あって、友達も多くて・・・・・優しくて・・・何もかも私と正反対なんです」