「―――――――りぃぃぃぃ!!」
「なんか・・・声しなかった?」
「・・・したような、しなかったような?」
明音はあんまり聞こえなかったのか......
でも、私は聞こえた.....
朱雀の声を
空耳かもしれないけど・・・朱雀の声に聞こえた。
『みなさーーん!!態勢を低くしてくださーーーい!!何かが降ってきますよ~~』
「芽依さん!爆弾みたいなこと言うのやめません!?」
明音のツッコミが入ると、会場にいる人みんなが上を見上げ
「うわぁ~~~なんか・・・降ってくる」
「ちょっと、何々~~??」
「サプライズーーー??」
口々に勝手な事を言い出した。
『だーかーら、サプライズじゃないよ!?俺、知らないかんね!?』
尋道さんも尋道さんで焦って大変そうだ。
「ねぇ・・・琴梨....これって、花びら・・かな?」
「えっ!?・・・・ホントだぁ・・・桜の花びら」
ヘリコプターから桜の花びらが降ってくる。
『これ・・・桜吹雪だ・・・』
芽依さんがボソッと言った。
ってかいい加減、2人ともマイク離したらどうですか?
「桜・・・吹雪・・・」
「琴梨....綺麗だね」
会場にいる人たち皆、手を挙げている。
「琴梨ーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「す・・・ざく?」
絶対、今・・・呼ばれた....
朱雀に、琴梨って呼ばれた。
上を見てみると、ヘリコプターからはしごのようなものが降りてきて
誰かが降りようとしている。
「ちょっと・・・あれ、朱雀?」
「へ!?うっそ~~~」
なんで明音が異常なほどハシャぐのよ?
『皆さま上をご覧ください、琥城 朱雀君が降りてきますよ』
「芽依ーーみんな上、見てるぞ~~」
『あはっそうだね』
一人の上級生が芽依さんにツッコミを入れた。
芽依さん・・・
芽依さん、何か知ってる?
―――――――ブロロロロロロロロロロロロロッ!!
「琴梨ーーーーー、俺とっ結婚して下さい!!!!!!」
「・・・・・はぁ!?」
今・・・なんて言った?
朱雀・・・なんて言った??
「琴梨・・・返事は?」
「へ?・・返事?」
桜吹雪で良く見えないけど、声は聞こえた。
『結婚して下さい』
俺とって・・・朱雀と
だよね?
「琴梨?・・・好きで人は変われるの....今の気持ちで動くってことも大事なんだよ?」
なんで・・・私の考えてること....
「・・・・うん。」
「私と、結婚して下さい!!!」
これが・・・今の素直な気持ち....
これから何があっても
どんなにつらくても・・・
朱雀となら乗り越えられる
そんな気がするの。
だから・・・
だから・・・・
「結婚して下さい!!」
『ヤッタ―――――――――!!!』
『芽依っ静かに!!』
『・・・ごめん』
騒いだ芽依さんを尋道さんが止める。
床にも
テーブルにも
ステージにも
招待された人にも
みんな・・・みんな
桜が散りばめられている。
視界が桜吹雪で人と人を確認することが出来ない状況だから......
私は・・・泣いた。
この年になって人前で泣くなんて、あまり出来なかったけど
舞う桜と朱雀へのプロポーズを聞いたら
不思議と涙が止まらない.....
「琴梨。」
「えっ・・・いつの間に.....」
涙を流している私の前には
愛しい人が私の名前を呼んでいた。
「あたしは、芽依さんとこに行ってるね」
「ごめんな」
「ううん・・朱雀クン!琴梨のこと....任せたから」
明音はそういって素早く姿を消した。
「・・・みんな、みんな見てるよ?」
「うん、知ってる。みんなには、もう言ってあるから!」
「はぁっ!!??」
言ってある・・・?
目の前にいる朱雀は・・・おかしくなっちゃった?
「ごめん...サプライズの方が俺らしいって思ったから。生徒会長に頼んで・・さ」
はにかんで言う朱雀は私の事をじっと見つめている。
「・・・・芽依さんに....?全部頼んだの?」
「驚いた?」
驚いたって言うか・・・・
「ありがと・・・ぉ」
「良かった。」
急に近くに香り出した、朱雀の香りは・・・
私の鼻をくすぐるように包んでいく。
愛しい人に抱きしめられて・・・私は....
嬉しくて仕方ない....
幸せがほしかった
誰かに認めてほしくて
頑張った、あの時は
こうして
今に繋がっている。
人生。
一度も無駄になる出来事なんか一つもない。
何かを頑張ったら
努力したら・・・
報われる時が、絶対ある。
無駄な事なんて一つもないんだよ.....
「琴梨が辛い時、悲しい時、悩んだ時、嬉しい時、楽しい時・・・全部一緒に過ごそう。いつも、琴梨のそばには俺がいるから。何があっても・・・琴梨を守るから。」
「・・・本当?」
「うん、絶対に。愛してるから...」
そうして、どちらともなく互いにキスをする。
『愛してる』
この言葉は、私にとって・・・とっても大切な言葉だから。
「私も・・・ずっとずっと....愛してる。だから・・・」
「だから?」
「だから・・・私と一緒にいて下さい。」
「絶対に離さないから」
朱雀はそう言って
私の大好きな笑顔を見せてくれた。
~5年後~
「朱梨ーーママにそれちょ~だい」
「えーーパパにあげる~~!!」
「残念だな、マ~マ!」
私たちは、めでたく結婚して
大切な、命を預かり
家族3人幸せに暮らしています。
私の名前は琥城 琴梨になり
娘の琥城 朱梨【クジョウ シュリ】も生まれた。
朱梨の名前は
朱雀の『朱』と琴梨の『梨』から、つけた。
どっちかというと・・・朱雀の方になついてるかな?
ママ的には悔しいんだけどね~