結婚って・・・簡単じゃないんだなぁ~
――――――――ゴオーーーーーン
「な・・・何っ!!??」
「琴梨・・・・天井が・・・開いていく.....」
「えっ!?」
本当だ....天井が蜜柑の皮みたいに開いていく。
一枚一枚、少しずつ青空が見えてきて、それに・・・
「明音・・・ヘリコプターの音、しない?」
「へ!?・・・・・する...ヘリコプターだ!!」
やっぱり
ヘリの音が段々近づいてくる。
会場にいる人みんなが天井を見上げて、あんぐりしてる。
『えっ!?何・・・これ?・・・・尋、サプライズ?』
えっ!芽依さんじゃないの??
『俺・・・知らないけど?』
尋道さんでもないの???
じゃあ・・・・誰??
――――――ブロロロロロロロロッ!!!!
『み・・・皆さん、この状況を知ってる方いらっしゃいますかーーー??』
シ―――ン
『・・・・だよね~、ほんっっっっとに尋じゃないのよね?』
『俺は知らないって』
『あーーーーーーー分かんない分かんないーー!!』
芽依さん・・・落ち着いて~~
「琴梨・・・もしかして、殺人事件があったとか?」
「いやいやいや~さすがにそれは・・・・。」
明音もおかしくなってきた。
そうしている間にも天井は完全に開いていて
ヘリコプターの音が大きすぎて耳を塞いでいないと
うるさ過ぎるくらいだった。
「―――――――りぃぃぃぃ!!」
「なんか・・・声しなかった?」
「・・・したような、しなかったような?」
明音はあんまり聞こえなかったのか......
でも、私は聞こえた.....
朱雀の声を
空耳かもしれないけど・・・朱雀の声に聞こえた。
『みなさーーん!!態勢を低くしてくださーーーい!!何かが降ってきますよ~~』
「芽依さん!爆弾みたいなこと言うのやめません!?」
明音のツッコミが入ると、会場にいる人みんなが上を見上げ
「うわぁ~~~なんか・・・降ってくる」
「ちょっと、何々~~??」
「サプライズーーー??」
口々に勝手な事を言い出した。
『だーかーら、サプライズじゃないよ!?俺、知らないかんね!?』
尋道さんも尋道さんで焦って大変そうだ。
「ねぇ・・・琴梨....これって、花びら・・かな?」
「えっ!?・・・・ホントだぁ・・・桜の花びら」
ヘリコプターから桜の花びらが降ってくる。
『これ・・・桜吹雪だ・・・』
芽依さんがボソッと言った。
ってかいい加減、2人ともマイク離したらどうですか?
「桜・・・吹雪・・・」
「琴梨....綺麗だね」
会場にいる人たち皆、手を挙げている。
「琴梨ーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「す・・・ざく?」
絶対、今・・・呼ばれた....
朱雀に、琴梨って呼ばれた。
上を見てみると、ヘリコプターからはしごのようなものが降りてきて
誰かが降りようとしている。
「ちょっと・・・あれ、朱雀?」
「へ!?うっそ~~~」
なんで明音が異常なほどハシャぐのよ?
『皆さま上をご覧ください、琥城 朱雀君が降りてきますよ』
「芽依ーーみんな上、見てるぞ~~」
『あはっそうだね』
一人の上級生が芽依さんにツッコミを入れた。
芽依さん・・・
芽依さん、何か知ってる?
―――――――ブロロロロロロロロロロロロロッ!!
「琴梨ーーーーー、俺とっ結婚して下さい!!!!!!」
「・・・・・はぁ!?」
今・・・なんて言った?
朱雀・・・なんて言った??
「琴梨・・・返事は?」
「へ?・・返事?」
桜吹雪で良く見えないけど、声は聞こえた。
『結婚して下さい』
俺とって・・・朱雀と
だよね?
「琴梨?・・・好きで人は変われるの....今の気持ちで動くってことも大事なんだよ?」
なんで・・・私の考えてること....
「・・・・うん。」
「私と、結婚して下さい!!!」
これが・・・今の素直な気持ち....
これから何があっても
どんなにつらくても・・・
朱雀となら乗り越えられる
そんな気がするの。
だから・・・
だから・・・・
「結婚して下さい!!」
『ヤッタ―――――――――!!!』
『芽依っ静かに!!』
『・・・ごめん』
騒いだ芽依さんを尋道さんが止める。
床にも
テーブルにも
ステージにも
招待された人にも
みんな・・・みんな
桜が散りばめられている。
視界が桜吹雪で人と人を確認することが出来ない状況だから......
私は・・・泣いた。
この年になって人前で泣くなんて、あまり出来なかったけど
舞う桜と朱雀へのプロポーズを聞いたら
不思議と涙が止まらない.....
「琴梨。」
「えっ・・・いつの間に.....」
涙を流している私の前には
愛しい人が私の名前を呼んでいた。
「あたしは、芽依さんとこに行ってるね」
「ごめんな」
「ううん・・朱雀クン!琴梨のこと....任せたから」
明音はそういって素早く姿を消した。
「・・・みんな、みんな見てるよ?」
「うん、知ってる。みんなには、もう言ってあるから!」
「はぁっ!!??」
言ってある・・・?
目の前にいる朱雀は・・・おかしくなっちゃった?
「ごめん...サプライズの方が俺らしいって思ったから。生徒会長に頼んで・・さ」
はにかんで言う朱雀は私の事をじっと見つめている。
「・・・・芽依さんに....?全部頼んだの?」
「驚いた?」
驚いたって言うか・・・・
「ありがと・・・ぉ」
「良かった。」
急に近くに香り出した、朱雀の香りは・・・
私の鼻をくすぐるように包んでいく。
愛しい人に抱きしめられて・・・私は....
嬉しくて仕方ない....
幸せがほしかった
誰かに認めてほしくて
頑張った、あの時は
こうして
今に繋がっている。
人生。
一度も無駄になる出来事なんか一つもない。
何かを頑張ったら
努力したら・・・
報われる時が、絶対ある。
無駄な事なんて一つもないんだよ.....