CANDY POT~キャンディーポット~【完】

「琴梨ちゃーーーーーーーーーーーん!!!」

なっ・・・この声は!?


「芽依さっっ!!!って誰ですか??」

「ちょっと誰とは失礼ね!!芽依ですが?ん?」

怖い・・・

「芽依さんって、生徒会長だった?」

え!?

朱雀・・そーいうの言っちゃ、芽依さんが怒るって!!


「もうーー朱雀くんも!?そんなに、あたしのこと忘れちゃったの!?」

芽依さん・・・半泣き状態じゃん.....


それより・・・

「芽依さん、綺麗になった・・・誰か分かんないくらい変わった・・・・」

これが率直な感想。


あのころとは全くの別人みたい....
「あはははっ綺麗なのは、この服だって~」

笑いながら言うと、くるっとその場を回って見せた芽依さんの顔は


キラキラと輝いていて


何かが吹っ切れたような・・・そんな顔に見えた。


「生徒会長、それ・・・うちの服だ.....」

「えっ!?」


「あっ!そっか~朱雀くんのお母様は【sunshine】のオーナーだったね!お母様にお礼を言っといてもらえる?」

「・・・あっはい。」


朱雀・・・お母さんのこと、気にしてる・・・・よね?

とっても暗い顔だもん。


「芽依ーーー」

ん?


聞いた事のない声・・・それに呼び捨てだし.....


「あっ!尋~~!!」


ひろ??


って芽依さん、凄い笑顔・・・


この人誰??

「あっ・・・門永さん・・・門永 尋道【カドナガ ヒロミチ】さん、ですよね?」

「朱雀・・・知ってるの?」

「当たり前」

へぇ~有名な人なんだ.....

私・・・全く知らないや。


「琴梨ちゃん、紹介するわ!」

「はい」

そうして、走ってきた尋道さんは芽依さんの隣に立つ

「こんにちは・・・っと、琥城くんは初めてじゃないよね?」

「はい・・・」

優しい声だ、尋道さん





私たちは会場の中央に移動して尋道さんの紹介をしてもらう事にした。

「それじゃあ、いいよね?」

「・・・うん、いいんですけど.....」

「生徒会長、これ・・必要あります?」

最後の朱雀の質問には私も大賛成だし.....


だって・・・なんなの?この衣装は・・・?


「必要よ!!今から結婚式するんだから!!」

「「・・・はぁっ!!??」」

私たちはピッタリと息が合った。

「ごめんごめん・・・芽依がやるって聞かなくて・・・さぁ」

はぁ~尋道さん、困ってるよ~



あれから、芽依さんにちょっと待ってて!と言われ朱雀と待つこと1時間半



やっとやっとで帰ってきたかと思えば


芽依さんと弘道さんはウエディングドレス&タキシード姿で登場してきて


会場は大騒ぎ状態・・・



ありえませんって・・・
あっ!そういえば、まだ明音と会ってない。


電話してみようかな?

どうせ、芽依さん達はまだ話しているだろうし。


「琴梨?・・・琴梨?」

「へ・・・?....明音」

携帯電話を落としそうになって慌てて持ち直した。


「うわぁ~琴梨だよね?・・・久しぶりだね」

「・・・・うん。」

急に声をかけられてビックリしたのもあるけど・・・


それよりビックリしたのは


「明音・・・結婚した?」

左手の指輪だった。

「え?・・・・そうだよ。」

明音は優しく微笑んで指輪をなでた。


「教えて・・・くれなかったね」

「ごめんなさい。芽依さんから聞いてさ・・・琴梨達は同居して大変だって。だから、心配掛けちゃいけないかな~って思って。」

その時の明音の顔はどこかさびしそうな顔だった。



「おめでとう、明音。」

それが、明音のいいところだよね....

相手の事もしっかりと考えて、自分の答えを出す。


思いやりがある、明音が大好き・・・だから


「ありがとう・・・琴梨。琴梨は、朱雀クンとはどうなってるの?」

「え~っとね、もう少しで結婚すると思う。」


まだ、この段階では『すると思う』。


結婚したいとは思う・・・でも、どこか不安な部分があって・・・

高校の時とは全く違う。


一緒にいたいだけでは、片づけられないような

このままやっていけるかどうか


この1年、このことばっかり考えてきた。
朱雀の事は大好きだけど。

好きだけで、大丈夫なのか・・・


好きだけで


今のこの気持ちだけで・・・決めていいのか....


「琴梨に逢いたくてしょうがなかったけど・・・ずっと我慢してた。もう、いいよね?」


「・・・明音....」

明音の瞳には涙があふれていた。


「もう・・・我慢しなくていい・・・よね?ずっと、そばに・・いてもいい・・よね?」

あふれた涙が頬を伝って床に落ちる。


「琴梨に全部、全部・・話して・・・昔みたいに・・・仲良く・・しても・・・いいよね?」



「・・・ずっと、そばにいていいよ.....明音」

その瞬間、明音の香りがふわぁっと感じて


2人で抱き合っていた。


「琴梨ちゃーーーーん!明音ちゃーーーーん!!早く~~」

へ?

っ・・芽依さん....ドレス、踏んでますけど?

「さすが、芽依さんだ・・・っっ!?」

「明音?・・大丈夫?」

「あははっ大丈夫大丈夫、何時もの事だから!」

何時もの事・・・?

「・・・明音、妊娠してるの?」

明音のお腹は、膨らんではないように見えたけど・・・


「やっぱりわかった?今ね、7週目。」

「なな・・・お腹全くわかんないけど!?」

「でも、これから・・・凄く膨らんでいくんだって」

「そうなんだ・・」


明音・・・お母さんなんだ...

「ゆっくり行こう?」

「ありがとう・・・琴梨は優しいね。琴梨のそーゆーとこ、大好きだよ」





「・・・2人とも、遅いって~」

やっとのことで、芽依さんとこに着いたんだけど・・・

怒ってるね.....

「すいません・・・」

「琴梨さんが謝る事ないから・・・ごめんね、芽依の我がままに付き合ってもらって」

尋道さん....

凄く優しいよね・・・こんな人が芽依さんの旦那さんだなんて・・・


ちょっと不思議な組み合わせかも?



「明音ちゃーーん、ちょっと前に話したっきり逢ってなかったよね?」

「そうですね、お久しぶりです。そして、おめでとうございます。」

「あっ言うの忘れてた・・芽依さん、尋道さん、おめでとうございます」

一番に言わないといけない事だったよね・・・


すいません、芽依さん。


「ありがとーーーっ明音ちゃんも、おめ・・っ」

「あっ大丈夫です。琴梨に、ちゃんと結婚の事話しましたから」

「そっか~良かった良かったー」

芽依さんも、心配してくれてたんだね....


ありがとう、芽依さん。