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「明音ちゃん・・・携帯なってるよ?」
「へ?・・あっごめん長谷川君、出てくれる?」
明音は私を支えてくれてるから電話に出れない、代わりに出る長谷川君は緊張してて手に持っている携帯がおろおろと落ちそう。
「大丈夫・・・琴梨、大丈夫。あたしが、いるからね」
「・・・ごめん...なさい。ちゃんと歩いて帰ろう?」
「琴梨、歩けるの?」
「・・・うん、ちゃんと歩く。」
今の私じゃ、何にもできないけど
1人で出来る事をやっていかなくちゃ
出来るだけ・・・出来るだけ周りに頼らない方法で・・・・
「・・・うん、それじゃ。・・・明音ちゃん、クラスの山口さんからだったんだけど、優子ちゃんって人が琴梨ちゃんの事を探してるんだって。それで、早めに帰ってこれる?って言ってたけど。」
「長谷川君・・優子が探してるって?」
「一応、そうらしいけど」
今の明音の反応を見る限りじゃ、優子の事は長谷川君達に話していないみたい。
明音がいないと震えがおさまんない私が・・・優子と会うことが出来るの?
それより
何で今頃・・・優子が.....
あれから、急いでホテルに帰って来て
今は私達二人の部屋。
さっきはしっかりと内装が見れなかったけど・・・凄いよやっぱり
キラキラとしている部屋との私達のぎくしゃくが・・・・
とってもおかしな雰囲気を醸し出してる。
「琥城君、さっきはごめんなさい。私には謝るって事しかできないから・・・ごめんなさい、私が自分でもっと早く男拒否症って言っとけば良かったんだよね?」
明音の口からでしか、本当の理由を聞き出せなかったんだもんね.....
初めて会った、合格発表の日
琥城君は、一生懸命になって助けてくれた・・・・
のに、理由を言わなかった。
ううん、言えなかった......
言ったら、また
離れて言っちゃうって思ったんだ。
もう、大切な・・・大切な人を失いたくなかった。
私の心の中を・・・温めてくれた人を失いたくなかったんだよ....
「本当に、ごめんなさい。殴りたいなら何発でも殴って?」
きらびやかな部屋で
関係が壊れそうな二人
それを必死に取り戻そうとする私・・・
ヘンな絵・・・かな?
相変わらず、琥城君はずーっと空を見上げてるまま
・・・・へ?
へ?へ?
あわわわわわわわ・・・
琥城君!!!
空を見上げたまま・・・・・の琥城君が何で
何で私の目の前にいるの?
ってそれより、何で私は気付かなかったの????
――ギシッ
思わず後ろのベッドに後ずさりしちゃったし
なんか、冗談(?)で言った、「何発でも殴っていいよ。」を実行されそうな感じだよ?
この雰囲気はーーー
「なぁ、琴梨、気付かなかったのか?俺が何で不機嫌か」
「いっ・・いや、だから・・私が自分で言わなかった・・から。じゃ・・ないの?」
思うように、この威圧感で喋れない
「は?俺ってそこまで小さい男だったわけ?」
あ・・・あれ?キャラが変わってる?
いや、ただ怒ってるだけ?
――――ギシッ
だんだんと琥城君が近づいてきてベッドが軋む。
んでもって
何か・・楽しそうじゃない?
こっちは真剣に謝ってんのに?
「琥城く・・・んっ・・っ」
視界が急に・・・
「お前が『琥城君』って呼んでっからだよ!!」
「・・・ぷはっ・・・はぁはぁ・・」
そ...それだけ???
って何でキスしたの――――!!???
完全におもちゃだ....
「うっわ~~エロい顔~~」
「エッ・・・違っ!!」
「・・・琴梨が急に俺の事、『琥城君』とか呼ぶし・・・なんか頭にキテさ」
「そんなことで・・・」
全部、全部・・・私が悪いわけ???
くじょ・・朱雀は全然余裕そうだし
1人でジタバタしてたの??
・・・恥ずかしっ!!!
「朱雀、ごめんなさい。だって・・・もう、朱雀とは関わらないようにしようって決めてたんだよ....私の周りにいる人は、みんな・・・みんな・・・」
迷惑かけちゃう・・・から.....
「なぁ、迷惑かけるって言いたいわけ?はっ俺なんかどんだけ周りに迷惑掛けまくってんだか~・・・人間、誰ひとりだって、迷惑かけずに生きていける奴なんて誰もいないんだ」
『迷惑かけずに生きていける奴なんて誰もいない』
「迷惑かけれる内はいっぱい、いっぱい迷惑かけてやれ!自分は、ここにいるぞっ!!ってな」
自分は・・・ここに、いるぞ
私は
いつの間にか居場所を失ってたんだ.....
私は
ここにいるよ
男拒否症で・・・
人と話す事が得意じゃなくて・・・
親とも、あんまり仲良くなくて・・・
でも、これが
世界で、たった1人の
霧咲 琴梨なんだ。
世界の誰でもない
世界でたった一人の
霧咲 琴梨なんだ。