CANDY POT~キャンディーポット~【完】

「あっ!!長谷川くん!!!こっちこっち~~~」



えっ? 




明音が私の隣で思いっきり手を振ってるんだけど・・・・



もしかして



あの子がペア!?




「あっ!!明音ちゃんーーー」



あ・・明音ちゃん!?



ってやっぱり、あの子がペアなのーーー??



「琴梨~~2人共、来たみたいだから行こう!!」


「うっ・・・うん」


でも、肝心の琥城君は・・・・



ご機嫌斜めーーーーー
さっきまでの爽やかな走りとは裏腹に



真っ黒いオーラでこっちに向かってくる。


それに比べて長谷川君は....


第一感想、チャライ。


「それじゃあ、ユッキ―行ってきまーす」


「気をつけてな」


はぁ~~



これから。。。どうしよう.....




隣が怖いんですけど~
「ねぇねぇ、君さ名前は?」


「へっ・・・あっ・・・・」


突然の長谷川君の声にビビっちゃった私。


長谷川君はニコッと笑って私の答えを待っている。


「あっ・・ああっ・・・こ・・・とぉ・・・りぃ・・・・です」


無理ーーー!!言えない~~


「あっあのね?長谷川君、この子はあたしの心友の霧咲 琴梨。」

「いや~~何か凄いビビられてたから・・・さ」


「す・・・・・すいませ・・・ん」


全然話せないし......


ハッキリ言って長谷川君の事は怖い。



こんなの


ダメに決まってる。
「よろしくなーー琴梨ちゃん」

「・・・・はいっ。」


何で私はいつもこんなの何だろう....


明音みたいに可愛くもなく、逃げてばかりで何もできない。


さっきだって、困ってる私に明音が助けてくれたし。



この先・・・明音がいないと何もできなくなっちゃうのかな?


変わらない自分に何回自己嫌悪しただろう.....



変わりたい・・・




変えたい・・・・






変わらなきゃ


でも、変われないのは自分が一番よく知ってる事。


「琴梨~こいつは長谷川 亮輔【ハセガワ リョウスケ】」

「俺が自分で自己紹介したかったのに~~亮って呼んで!」


「・・・りょ・・・・う・・?」


「琴梨!!!!」


亮って・・・亮って・・・


急に視界が一転して、気が付くと――――?





「琴梨・・・・大丈夫か?」



「く・・・琥城くん?」
「琴梨~~~!!ずっと朱雀クンが抱えててくれてたんだよ?長谷川君じゃ任せれないと思って・・・・」

そういって明音は長谷川君をニヤつきながら見た。


「うっわ~ひでぇや!!俺だって姫抱っこしたかった!!!」


「ごめんね・・・琥城君、ありがとう。」

「・・・・・。」


私の頭の上にある琥城君の顔は、とても無愛想だった....



でも、ゆっくりと降ろしてくれて


「ここは?」


私の意識がある内の森林の景色とは一変していて



「えへへ~ここはゴール地点の精霊神の泉だよ、凄く綺麗だよね・・・」

「綺麗だけど・・・琥城君と長谷川君は私の事、変って思わないの?突然気失ったりして」


さっきから、私のこと・・・何も言わないんだ.....



琥城君だって、何も言わずに私の事・・・・

なんで?


同じチームだから?



「あははっそれは・・・あたしが琴梨のこと、話したから」


「話したって・・・拒否症の事?」

そう言うと明音は顔を縦に振った。



「2人共ね、凄く心配してて話すなら今かな~って、朱雀クンは2回目でしょ?」


「・・・・。」





話をフられた琥城君は、やっぱり口を閉ざしたまま




「ごめん・・・琴梨ちゃんのこと、傷つけたかも・・・ごめん。」


長谷川君・・・・


私がこんなんだから、周りを謝らせてばっかりだし







「それにね・・・この場所はあたし達が1番に着いたんだ~ここはね、言い伝えだと『迷える子羊ちゃん』達がこの場所に辿り着けるんだって」


ま・・・迷える子羊ちゃん??


子羊って誰よ!?


「明音・・・それ、うそでしょ?」


「あっバレたーーー??」


やっぱり、うそか.....




「琴梨ちゃん・・・俺、もう近付かないから琴梨ちゃんに」


「なんで?」


私が弱い子だから?   



私が逃げてばかりだから?



「俺さ・・・琴梨ちゃんの周りにいると......朱雀だったら大丈夫なんでしょ?」


「なん・・・で・・・」



こうやって・・・私はみんなが離れていくのかな?



全部....全部.....


自分のせいで皆を失うの?
嫌だよ・・・そんなの・・・絶対に嫌だよぉ......


「明音ちゃん。先生に言って俺さ、別のチームに入れさせてもらうから」


「ちょ・・・長谷川君!」


「いやぁ~~俺も散々、人の事傷つけてきたから・・・潮時ってやつ?俺の噂、知ってる?」


長谷川君は木漏れ日の光に照らされてキラキラと輝いている。


「・・・・知らないって言ったら嘘になるけど....」


「でしょ?あんな男が、また女の子泣かせたーーとかなったら俺もヤバいわけよ」



なんで軽く言えるの?



嫌じゃないの?




「違う....違うよぉ....長谷川君は悪くない....噂を流してる人が悪い....」