CANDY POT~キャンディーポット~【完】

「え~っと全員いるかー?点呼とれよーー!!」

私が落ち着いたのを見計らって明音とホールに来た。

ユッキ―はホテル全部に響き渡りそうな大声で点呼の確認してるし・・・

結構うるさいよ?





あれから、朱雀とは何でか同室になってたけど.....まぁ芽依さんの作戦なんだろうけど
.....必要以上に・・・いや、もう・・・関わらないって決めた。



何でここに来たかと言うと、オリエンテーリングをやるらしい。


ルールは


50分以内で4人ペアを作って、目的地まで行って写真を撮って帰ってくる。



私はさっそく、明音たちのグループとペアを作り・・・・だけどね.....


明音のペアの男の子が不在らしい。

「よーーし、じゃあ広場に再集合な!」

ユッキ―の言葉でみんなが一斉に広場へ歩きだす。


「明音、ペアの子来た?」

「そーいう、琴梨だって朱雀クン来てないじゃない!」

「朱雀は・・・・琥城君は、後から来るんじゃないかな?」


私は・・・『朱雀』なんて呼べる立場じゃ無い.....


呼んでいいのは琥城君の彼女だけ




「琴梨・・・・、もうさ~2人で行っちゃおうか?」



「えっ・・・・・」
「んじゃあ、全員出発ーー!ちゃんと帰ってこいよ~」


やばっ!もうスタートしちゃった!?






―――その時



「遅刻したーーーー!!」
「やべぇーーーー!!」



へ!? この声って・・・


「琥城と長谷川!!どうどうと遅刻すんな~ちょっとは、頭使えよ!!・・・ほい、早くチームのとこ行け!」


「「はいっ」」


何なの?


あれって・・・琥城君だよね?



・・・と誰? 隣の子....見たこと無い人
「あっ!!長谷川くん!!!こっちこっち~~~」



えっ? 




明音が私の隣で思いっきり手を振ってるんだけど・・・・



もしかして



あの子がペア!?




「あっ!!明音ちゃんーーー」



あ・・明音ちゃん!?



ってやっぱり、あの子がペアなのーーー??



「琴梨~~2人共、来たみたいだから行こう!!」


「うっ・・・うん」


でも、肝心の琥城君は・・・・



ご機嫌斜めーーーーー
さっきまでの爽やかな走りとは裏腹に



真っ黒いオーラでこっちに向かってくる。


それに比べて長谷川君は....


第一感想、チャライ。


「それじゃあ、ユッキ―行ってきまーす」


「気をつけてな」


はぁ~~



これから。。。どうしよう.....




隣が怖いんですけど~
「ねぇねぇ、君さ名前は?」


「へっ・・・あっ・・・・」


突然の長谷川君の声にビビっちゃった私。


長谷川君はニコッと笑って私の答えを待っている。


「あっ・・ああっ・・・こ・・・とぉ・・・りぃ・・・・です」


無理ーーー!!言えない~~


「あっあのね?長谷川君、この子はあたしの心友の霧咲 琴梨。」

「いや~~何か凄いビビられてたから・・・さ」


「す・・・・・すいませ・・・ん」


全然話せないし......


ハッキリ言って長谷川君の事は怖い。



こんなの


ダメに決まってる。
「よろしくなーー琴梨ちゃん」

「・・・・はいっ。」


何で私はいつもこんなの何だろう....


明音みたいに可愛くもなく、逃げてばかりで何もできない。


さっきだって、困ってる私に明音が助けてくれたし。



この先・・・明音がいないと何もできなくなっちゃうのかな?


変わらない自分に何回自己嫌悪しただろう.....



変わりたい・・・




変えたい・・・・






変わらなきゃ


でも、変われないのは自分が一番よく知ってる事。


「琴梨~こいつは長谷川 亮輔【ハセガワ リョウスケ】」

「俺が自分で自己紹介したかったのに~~亮って呼んで!」


「・・・りょ・・・・う・・?」


「琴梨!!!!」


亮って・・・亮って・・・


急に視界が一転して、気が付くと――――?





「琴梨・・・・大丈夫か?」



「く・・・琥城くん?」
「琴梨~~~!!ずっと朱雀クンが抱えててくれてたんだよ?長谷川君じゃ任せれないと思って・・・・」

そういって明音は長谷川君をニヤつきながら見た。


「うっわ~ひでぇや!!俺だって姫抱っこしたかった!!!」


「ごめんね・・・琥城君、ありがとう。」

「・・・・・。」


私の頭の上にある琥城君の顔は、とても無愛想だった....



でも、ゆっくりと降ろしてくれて


「ここは?」


私の意識がある内の森林の景色とは一変していて



「えへへ~ここはゴール地点の精霊神の泉だよ、凄く綺麗だよね・・・」

「綺麗だけど・・・琥城君と長谷川君は私の事、変って思わないの?突然気失ったりして」


さっきから、私のこと・・・何も言わないんだ.....