部屋のドアが開けば、あたしの彼氏がいる。 あたしは、顔が上げられなかった。 「…昨日の話の続き、いいか?」 「…」 「引っ越し先は兵庫県。ここ、東京からは随分距離がある」 何も言えない。 何も…聞きたくない。 「…なぁ、柚。お前は…どうしてほしい?」 「は…?」 突然の質問に、思わず顔を上げた。 どうしてほしい…?って、そんなの、陽太が決めることじゃん。