そんな事を考えてたらいつの間にか見知らぬ町に来ていた。
…
……
………って!えぇ!?
どうやら考え事をしているうちに家を通り越してずっと歩き続けてたらしい…
「此処…どこ?」
もしかしなくてもこれは…
『迷子』だ……
私はとっさに振り返ったがどこから来たかまったくわからなかった…
すぐにケータイを取り出して「誰か」に電話をした。
プルルル……
<<はい,もしもし?>>
ワンコールで電話の相手は出てくれた…
……が…私は電話の向こうの声を聞いて後悔した…
「…みっ……帝…さ…ん?」
<<うん。どうしたの?>>
どうやら私はとっさにあの『雫石 帝』に電話をしていたらしい。
『神崎 帝』と『雫石 帝』が同一人物だと知った後だったからか…
私は酷く動揺してしまったようで…
声が出ない……
私が黙っている間も『雫石 帝』は<<もしもし?澪さん?大丈夫?>>などと急に黙ってしまった私に向かって電話越に話し掛けてくれていた…
私が黙って目を見開いて固まっていると…
目の前の曲がり角から誰かがきたらしく,私はその人とぶつかってしまった。
「いったぁ~……」
曲がり角の影に立ってた私が悪いか…
……自業自得だな。
「はぁ…」
私は思わずため息をついてしまった。
すると,目の前の人は手を差し伸べて
「ごめんね?大丈夫?」
<<ごめんね?大丈夫?>>
……と…言った。
……電話の向こうから
目の前の人の声がした…
目の前に立って…
手を差し伸べている人…
綺麗な黒髪の『神崎 帝』
電話の向こうで…
<<ごめんね?大丈夫?>>って言った人…
優しい声の『雫石 帝』
「……あぁ~バレちゃった?」
あぁ…なんという事でしょう…
携帯の向こう側にいたはずの天使は…
目の前の悪魔と…
同一人物だったのです…