「父親ってェのは、我が子を守るためにいるんだよ…! どんな時でも! 縁の下から支え、届かないところから照らすものなんだよ…! 分かる!?」
「はあ…」
「母親の存在は、子供には絶対。だから父親って、陰から愛するだけなんだよ…」
「は、はあ…」
……で。
結局…なにが言いてェんだこの人は。
「だからつまりして! 私は真裕に弱い姿など一切見せん! それゆえの言葉だ。分かるかね?」
「なんの話です?」
「いや…だから…。挙式が…」
それははなっから俺の念頭にねぇ。
よって聞かなかったことにしてやる。
「じゃあ…失礼します」
あいつが気になる。
相当キレてたからな…まあ、分かるけど。
「楓くん」
「…?」
「真裕を……頼んだよ」
「…!」
…振り向いたときに合った目で、俺は思った。
やっぱり……真裕の親だな…と。
普段からそっくりな親子だが、いざという時の強さまでそっくりだ。
根底の芯の強さ。
それがあるからこそのあの笑顔だ…。
だから俺は、あいつに惚れた。
そして恐らく…真琴さんも…。