ももこ?!



私は焦って立ち上がり、声のする方へ向けて走り出そうとした…。

がくんっ!

「いだぁい…」
コンクリート段差のあるところで右足の足首を捻ってしまった。


やばい。痛くて動けない…。
「あの…大丈夫?」
「えっ」
私は顔を上げた。

逆光で顔がよく見えないけど、背の高い男の人が屈んでこちらを見下ろしていた。

「怪我?立てる?」
「大丈夫です。ありがとうございます。」

恥ずかしくなって慌てて立ち上がったけど、足に力を入れると鈍い痛みが走る。

「いだっ!」

「…大丈夫じゃないみたいだね。」
「いえっ!大丈夫です!」
ちょっと目尻が熱くなった。
…恥ずかしい。

くぅんくぅ〜ん
男の人の足元でももこが鳴いている。

私が、恨めしげに睨み付けると、ももこはきゅ〜んと、身体を小さく縮こませた。