マスカラが落ちている。メイクがボロボロだ…。
鏡の前の自分。


…悠…私じゃなくてもいいの…?


蛇口から勢いよく水が流れている。



「なつみ…?」
いつのまにか、みかが後ろに立っていた。

…私達は鏡越しに目を合わせる。

「あの……なつみ…実は今ね…澤木さんから…絵のモデルをしてくれないか頼まれたの…。」

冷たい沈黙。

「でも…ちゃんと断ったから…。」

…もう帰るね…みかは消えそうな声そう言うと、洗面所を出て行った。