「仕事を辞めたいの…。私、普通の女の子に戻りたいの。誰かにいつも見られているような、こんな仕事は、もうたくさん。」


私のお見舞いに来てくれた日、なつみはそう言っていた……。


なつみは、小さい頃から、いわゆる”普通”とは違っていた。


そこにいるだけで、周りが明るくなるような…いつもみんなの輪の中心にいる…綺麗で優しい子だった。

小さい頃の写真を見る度、隣の私は、いつも不機嫌で、いじけたような顔をしている。

それでも、二人は双子のようにソックリで、+と−みたいに引き合っていた。

私はなつみが一緒にいてくれるなら、引き立て役でもいいやとずっと思っていた。

私たちは、他の誰よりもお互いの事を知っている…理解し合っている。


でも……そうじゃなかったのだ……。


私は…あいつに会ってからその事を知った…。