教室に戻ると、クラス中が有り得ないくらいのハイテンションだった。


そんな中、木村先生が教室に入ってくる。



ほんのり茶色がかった髪、切れ長で綺麗な目、シャープな顔立ち…
背も高いし、スタイルがいいから、細身のスーツがよく似合っている。




「えぇ…っと。
このクラスの担任になった、木村です。
受験生を受け持つのにプレッシャーを感じてますが。歳も近いから、遠慮なく相談して欲しい。」



カッコイイ人って、声までカッコイイのね…。



「何か質問あるかな?」

と、先生が言った瞬間、


「先生、いくつですか?」

「彼女いますか?」

「好きなタイプは??」



…いくつもの質問が飛び交い、先生は苦笑している。



あたしは、さほど興味がないから肘をついて窓の外を見る。



三年生の教室は1階だから、窓の外はつまらない風景しかなかった。



…2年生の時は2階だったから、遠くの景色が見れたんだけどなぁ…





「コラッ!」


コンコンっとあたしの机を叩く音がした。


見上げると、木村先生があたしの机の横に立っていた。


「ヒャッ!!」

あたしはビックリして、変な声をあげてしまった。



先生は名簿を確認しながら言う。


「…えっと、山瀬…千秋?」


「は、はい!」


「よそ見はダメだぞ?」


「は、はい…すみません。」


あたしは真っ赤になって俯いた。



「せんせ〜!千秋は彼氏とラブラブ過ぎて、心ここにあらずなんですよ?」


と、クラスのお調子者が言う。


「もぉ!!余計な事言わないでよぉ!!」


あたしはますます真っ赤になった。



「山瀬、恋愛もいいけど受験勉強おろそかにするなよ?」

先生はにっこり笑って言う。



「だ、大丈夫です!!」



あたしは、プイっとしてまた窓の外を見た。