違う。悠は危険を察知した。わかってはいない偶然だった。
悠の頭があった場所に犬の口があった。
「いきなり急所ねらいですかっと!」
悠は体を低くくし間一髪でよけた。そして、狙いを定めた。空中なら身動きは取れない。拳を思いっきり握りしめ犬に向かって放つ。犬は当たった瞬間に吹っ飛んだ。小さな光の粒になり消えた。
「何だったんだありゃ・・」
悠は落とした鞄を持ち、急いで家に走った。さっきの犬みたいなのに、またあったらかなわない。
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さっきまで悠の居た場所から少し離れたビルの屋上。
2つの人影があった。
「見たか?あの力」
そう言う男は背が高く、頭の毛はツンと跳ね上がっており年齢は20前後に見えた。みた感じでは一般人に見えるが片手には、機械の剣と呼ぶにふさわしいものがあった。いくつもの歯車のような物の先端から手元まで、刀のような感じの刃がついていた。チェーンソーである。しかしチェーンソーとは違い、刃はギザギザではなく真っ直ぐだった。
「ええ」
そう答えた女は男と同じように年齢に見える。男とは違い、手には何も持っていない。金髪で髪にはカールが、かかっており服装はGパンに、胸元を強調するような物をきていた。
女は男に訪ねた。
「でも見逃していいのかしら?あなたの飼い犬もやられちゃったわよ?」
「あの犬は何度でも再生できるさ。それに今日は偵察だからな。」
「そうだったわね」
女はつまらなさそうに答えた。男は続ける。
「にしてもあの男、武器を使わずして我がしもべを倒したな。かなり強力な契約者なのだろう。契約した空界の住人も居なかったのに、力を発揮した。今回の獲物は多少でかいかもしれんな。」
「そうね。どうする?手伝いましょうか?」
男は首をふり
「いい。私だけで十分だ。」
「そう。なら私は先に帰るわよ。」
「ああ。」
男がそう言うと、女は消えた。男は契約者である悠を狩るために、準備を始める事にした。