「うぉおおおおっ!どうやって着地すりゃいいんだぁぁ!」
悠は、かろうじて地面に着地した。悠は死んでいるので、怪我をしてもすぐ回復するが、やはり自分の体が折れ曲がったりするのは、あまり見たくないものだ。悠は体制を立て直すと、今度は、力を調節してジャンプした。上手くジャンプでき、着地の仕方もわかってきた。悠は黒い軍隊に向かっていく。
「よし・・。大分近づいてきたな。」
悠は黒い軍隊の方を見た。すると黒い犬は悠を見つけると襲いかかってきた。
「うらぁぁあ!」
拳を振り上げ、飛びかかってきた犬を片っ端からなぎ倒す。
しかし、その中の一匹が悠の右肩を食いちぎっていった。
「数が多い・・っ。武器さえあれば・・」
本来なら武器を使える契約者なのだが、悠は武器を持っていない。
少し先をみるとリナが、悠と同じように戦っていた。リナは魔法をつかい、黒い犬を次々と倒していた。
(リナが人間で無いとはいえ、女の子に負けるってのもな・・)悠は黒い犬の方を見ると拳を放っていく。拳が当たった犬は消えていくが、やはり殴るだけでは数に追いつかない。
リナの方を見ると、男が見えた。悠が何かを考える前に男の前に居たリナが吹き飛んだ。
「リナっ!」
悠は目の前にいる犬を無視して、リナが飛ばされた方に向かう。木がいくつも倒れていた。そして大きい木の下にリナが倒れていた。
「大丈夫かリナ!」
凄い勢いで叩きつけられたのだろう。大きい木は折れかけていた。
「悠・・?」
リナの声には力がなかった。よほどダメージを受けたのだろう。
「大丈夫か!?」
悠がリナに聞いても、リナは頷くだけだった。喋るのもつらいのだろう。
「なんだ、大したことはないな」
悠が振り返るとそこには20前後の男がいた。手にはチェーンソーのような物を持っている。そして後ろには何百もの黒い犬がいる。
「悠・・。気を・・つけて。そいつが悪・・魔・・だよ。」
リナは男の方をみている。悠はとっさに拳を構え男に向かって走った。